[ジュネーブ/ブリュッセル 15日 ロイター] – 世界貿易機関(WTO)の紛争処理小委員会(パネル)は15日、米国が2018年に中国製品に課した関税措置は国際貿易ルールに違反しているとの判断を示した。

パネルは、中国に対する措置が「規定上正当化された」ものであることを証明する義務を米国が果たしていないと指摘。関税は中国にのみ適用され、米国が約束した最高税率を超えているため、貿易ルールと矛盾していると述べた。

また、米国は関税対象となる製品の選択に加え、中国企業が不正行為や不公正な競争を行っているとの見方に基づき、関税措置が必要な理由を十分に説明していないとした。

その上で「米国は当該措置を義務に適合させるよう勧告する」と表明。「相互に満足できる解決策を模索する時間はまだある」とした。

ただパネルは、米国の措置のみを検証し、米国がWTOに訴えなかった中国の報復措置については検証していない。

ライトハイザー米通商代表部(USTR)代表は、WTOが中国の「不正行為」に対する救済策を提供していないとして、WTOの判断に反発。声明の中で「米国は不公正な貿易慣行から身を守ることを許されなければならず、トランプ政権は中国がWTOを通じて米国の労働者、企業、農家、牧場主を利用することを容認しない」と述べた。

その上で「WTOは中国の有害な慣習をやめさせるに当たり完全に無力だ。今回のパネルの報告書で、トランプ政権がこれまでの4年間に主張してきたことが裏付けられた」とした。

中国商務省は、米国がWTOの判断を尊重し、多国間貿易システムを維持するために現実的な行動を取ることを望むとした。

トランプ米大統領はパネルが示した判断は「ひどい」とし、WTOは中国寄りに傾いていると非難。WTO脱退を警告した。