- 不動産保有者が用いてきた常とう手段のパワーアップバージョンか
- 新たな詳細はブルームバーグ・ビリオネア指数の資産額に影響しない
トランプ米大統領が過去20年の多くの期間を通じて、所得税を払わず、当選した2016年の納税額がわずか750ドル(約7万9000円)だったと米紙ニューヨーク・タイムズが入手した納税申告書に基づいて報じた。だが、それは彼がビリオネア(億万長者)でないことを意味しない。
トランプ一族の中核企業である「トランプ・オーガニゼーション」は利益を生むビジネスと、目を見張るほどの赤字事業とを組み合わせることで、オフィス不動産などから生じる利益への課税を免れることが可能になった。
それは米国の不動産保有者が何十年も用いてきた常とう手段のパワーアップバージョンといえる。節税目的で設定するキャピタルロス(資本損失)は営業損失とは異なっており、たとえかなりの負債を抱えていたとしても、トランプ氏のビジネス帝国が危機に向かっている状況を新たなデータは必ずしも示していない。
パパマルコウ・ウェルナー・アセット・マネジメントのソーン・パーキン社長は「納税申告書は結局のところ所得とそれに対しどのような控除申告が行われたか示すにすぎない」と指摘した。
ヘアスタイリングや娘への顧問料に対する税控除など、それほど裕福でない米国民よりもはるか少ない納税額につながったトランプ氏の節税策の規模や範囲について、ニューヨーク・タイムズ紙は説明した。
その一部の合法性に同紙は疑問を呈したが、新たな詳細は、ブルームバーグ・ビリオネア指数の推定資産額には影響しない。
トランプ氏の純資産額は、主に保有するオフィスおよび商業用不動産の価値に基づいており、既に知られている債務額をそこから差し引いたものだ。
ビリオネア指数によれば、トランプ氏の8月時点の純資産額は27億ドル。特定の種類の保有不動産価格の下落に伴い、19年半ばから3億ドル減少した。
原題:Trump Paying $750 in Income Tax Shows Why He’s a Billionaire(抜粋)