[ニューヨーク 30日 ロイター] – ニューヨーク外為市場でドルが大半の主要通貨に対し下落。暗礁に乗り上げていた米政権と野党民主党指導部による新型コロナ経済対策を巡る交渉が打開するとの期待から、リスク選好の動きが強まった。
ムニューシン米財務長官は、追加のコロナ経済済対策を巡りペロシ下院議長と会談し、多くの点で前進があったと述べた。ペロシ議長も、協議を続ける考えを示した。
しかし、共和党のマコネル上院院内総務がコロナ対策を巡る与野党間の溝は依然深いとの認識を示したことは冷水となった。
クラリティFXのエグゼクティブディレクター、アモ・サホタ氏は「刺激策を巡りかなりの楽観ムードが漂っている」と指摘。「実現するかは確信できないが、市場はいかなるポジティブなニュースにも飛び付く勢いとなっている」と述べた。
半面、11月の米大統領選に向け、前夜開催されたトランプ大統領とバイデン前副大統領の第1回テレビ討論会が異例の混沌状態となったことで、選挙結果の判明が遅れ、政権移行が混迷するとの懸念が市場に広がる中、ドルは一時上昇した。
アナリストによると、月末さらに期末のポートフォリオ調整も一時、ドル押し上げに寄与した。
また、朝方発表された米経済指標もおおむねドルを下支えた。9月の米ADP民間部門雇用者数が74万9000人と、市場予想を上回った。第2・四半期の米実質国内総生産(GDP)確報値は年率換算で前期比31.4%減と、統計を開始した1947年以来最も大きな落ち込みとなった。
終盤の取引で、ドル指数=USDはほぼ変わらずの93.89。ドル/円JPY=EBSは0.2%安の105.49円。
ドルは高リスク通貨に対しても下落。豪ドルAUD=D3は0.5%高の0.7163米ドル、ニュージーランドドルNZD=D3も0.4%高の0.6611米ドル。カナダドルCAD=D3も対米ドルで0.6%上昇し、1.3312カナダドルとなった。一方、ユーロ/ドルEUR=EBSは0.2%安の1.1717ドル。
ドルは第3・四半期に約3.5%下落し、四半期ベースでは17年以来の大幅安となった。
ドル/円
NY終値 105.45/105.48
始値 105.68
高値 105.74
安値 105.41
ユーロ/ドル
NY終値 1.1718/1.1722
始値 1.1709
高値 1.1751
安値 1.1686