[北京 19日 ロイター] – 中国国家統計局が19日発表した第3・四半期の国内総生産(GDP)は前年同期比4.9%増加した。堅調な消費を背景に、伸び率は前期の3.2%から加速した。ただ、ロイターがまとめたアナリスト予想(5.2%増)は下回り、新型コロナウイルス禍による成長リスクはくすぶり続けている。
ウエストパック(シンガポール)のアジア担当マクロ戦略責任者、Frances Cheung氏は「9月のデータは予想を上回っており、第3・四半期の後半に向けて勢いが上向いたことを示している。勢いの加速は広範にわたっており、第4・四半期の見通しにとって良い兆候だ」と指摘した。
第一生命経済研究所の首席エコノミスト、嶌峰義清氏は、輸出の回復がけん引して中国経済は回復軌道に乗っていると指摘。個人消費も持ち直しつつあるが、新型コロナウイルスの悪影響を完全に払しょくできていないと述べた。欧州のロックダウン再導入や米国の感染再拡大が個人消費を冷やし、一段の雇用喪失を引き起こすリスクがあるとみている。
GDP統計が予想を下回ったことを受け、人民元CNY=CFXSや中国株式市場.SSEC.CSI300は上げ幅を縮小した。
1─9月のGDPは前年同期比0.7%増だった。
第3・四半期GDPは前期比2.7%増と、市場予想の3.2%増を下回った。前期は11.5%増だった。
中国経済は新型コロナウイルス危機による第1・四半期の大幅な落ち込みから着実に回復し、世界経済の回復のけん引役として期待されているが、まだ課題に直面していることが示された。
国家統計局の劉愛華報道官は記者会見で、一連の経済指標は中国経済が持続的回復局面にあることを示すとする一方で成長はなおまだら模様だと指摘。「経済の内部は依然回復プロセスにある」とした上で「指標の一部ないし大半はまだ平時の成長レベルに戻っていない。累積的成長率の一部は低下した」と指摘した。
<消費の改善>
中国当局は新型コロナ危機を受け、経済と雇用の支援に向けて、歳出拡大、減税、貸出金利と銀行の預金準備率引き下げなど一連の対策を講じてきた。
9月の鉱工業生産は前年比6.9%増で、前月の5.6%増から伸びが加速。
1─9月の固定資産投資は前年同期比0.8%増と、1─8月の同0.3%減から持ち直した。
失業増加や感染への懸念を背景に規制解除後も製造業活動と比べ回復が遅れていた消費も回復を示した。
9月の小売売上高は前年比3.3%増。伸び率は前月の0.5%を大きく上回り、2019年12月以来の高水準を記録した。
消費改善の兆しはすでに複数のデータで示されている。
9月の中国自動車販売は12.8%増と6カ月連続で増加。米自動車大手フォード・モーターF.Nの第3・四半期中国販売は25%増だった。
また、9月の国内線運航便は中国の新型コロナ危機時の水準を上回り、完全な回復に近付いていることが示された。
国家統計局によると、最終消費はGDP伸び率の1.7%ポイント分を占め、資本形成は2.6%ポイント、純輸出は0.6%ポイントそれぞれ占めた。
マッコーリー・キャピタル(香港)のエコノミスト、ラリー・フー氏は、今後数カ月で最も重要なのは、サービス消費がキャッチアップできるかどうかだと指摘した。