[ワシントン 9日 ロイター] – トランプ米大統領は9日、エスパー国防長官を解任したと明らかにした。国家テロ対策センター(NCTC)のクリストファー・ミラー所長が直ちに国防長官を代行する。
トランプ氏は「エスパー氏は解任された。NCTCのミラー所長が直ちに国防長官を代行する」とツイッターに投稿した。
エスパー氏はトランプ氏とさまざまな政策で対立しており、黒人暴行死を受けた抗議デモへの対応を巡っては、米軍の投入を主張するトランプ氏に公然と反対。関係筋によると、エスパー氏は長らく大統領選後の辞任もしくは解任の心構えをしていたという。ただ、トランプ氏が大統領選で負けたのに解任されたのは想定外だったようだ。
エスパー氏はこの日夕方に出した国防総省宛ての書簡で、「われわれが達成できることはなお多くある」と認識しつつも退任すると表明。その上で「国内政治に無関心」であり続ける米軍を称賛した。
国防関係者らによると、メドウズ大統領首席補佐官はトランプ氏がツイッターで解任を公表する数分前にエスパー氏に電話で警告したという。
民主党からは批判の声が上がった。
ペロシ下院議長は「エスパー長官の突然の解任は、大統領として残された時間を米国の民主主義や全世界で大混乱を生じさせるために使おうというトランプ氏の意向を示す気掛かりな証拠だ」と指摘。
民主党のスミス下院軍事委員長はトランプ氏の決定は「子どもじみて向こう見ず」だと批判した。
エスパー氏や米軍幹部はトランプ政権の政治の道具と見なされることに繰り返し拒絶反応を示しており、これがトランプ氏の国防総省との関係を一貫して不安定なものにした。
エスパー氏の前任者のマティス元国防長官は2018年にシリア問題などを巡るトランプ氏との意見の対立が原因で辞任。同氏は今年6月、退任以降の長い沈黙を破り、トランプ氏は「私の人生において、米国民の結束に尽力しない初めての大統領だ。尽力しているふりさえもしない。むしろわれわれを分断させようとしている」と断じた。