政府は日本最東端の南鳥島(東京都小笠原村)周辺の海底に埋蔵されるコバルトなどのレアメタル(希少金属)について、採掘の商業化を進める方針を固めた。2028年末までに採掘技術を確立させ、排他的経済水域(EEZ)内での採掘場所も決める予定だ。中国も同島周辺の豊富な海底資源に関心を強めており、資源確保に向けて対抗する狙いがある。
石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)によると、南鳥島周辺にはコバルトリッチクラストと呼ばれる鉱物塊が広く分布している。レアメタルのうち、国内消費量で約88年分のコバルトや約12年分のニッケルが存在すると推定されている。20年7月には、島南方の水深約900メートルで世界初の試験採掘に成功した。
コバルトは電気自動車(EV)のリチウムイオン電池などの原料となり、脱炭素社会に向けて需要増が見込まれる。しかし、コバルトはほぼ全量を輸入に頼っており、武装勢力の対立が続くコンゴ民主共和国が世界の生産量(年間約12万トン)の半分を占めるなど、安定的な確保が課題となっている。