世の中には問題が山積している。毎朝ニュースを見ながらそんな思いを強くしている。そんな中でこれは最悪と思ったのが次のニュースだ。「米富裕層『税金ほぼ払わず』、ベゾス氏らの納税記録暴露」。日経新聞が9日付の朝刊に掲載している。リード部分を引用する。「非営利の米報道機関プロパブリカは8日、米アマゾン・ドッド・コム創業者ジェフ・ベゾス氏ら富裕層の納税記録を独自に入手したと発表した。上位25人の合計保有資産価値は2014年~18年に約4010億ドル(約43兆円)増えた一方、連邦所得税の支払額は136億ドルにとどまった。富裕層に有利な税制が格差拡大を助長していると主張した。」とある。コロナ禍で富裕層の資産が急拡大しているというニュースはこれまで何度か見た。だが、実態がこれほどひどいとは・・・。驚くというよりは狂っているとしか言いようがない。
記事を詳しく見てみよう。プロパブリカは「米内国歳入庁(IRS)で機密扱いにされている納税記録を独自に入手し、分析結果を公表した」とある。その中で富裕層のしみったれた実態が暴かれている。例えば、自社で開発したロケットで宇宙旅行を楽しむと表明したアマゾン創業者のジェフ・ベゾス氏。「07年、会社の株価が2倍以上になったにもかかわらず、所得税を払っていなかった。11年には損失を計上し、節税していた。子供のために4000㌦の税控除を申請し、受け取っていたこともあった」とある。なんということだ、しみったれ!つい叫びたくなる。プロパブリカは米誌フォーブスのデータを基にベゾス氏の富が06年から18年までに1270億ドル増えたと推計。この間の連邦税の支払額は14億ドルで、富の増加に対する「真の税率」は1.1%にすぎないと主張する。どケチ、思いっきり罵倒してみた。
まだある。「アイカーン氏のほか、バークシャー・ハザウェイを率いる著名投資家ウォーレン・バフェット氏や、米メディアのブルームバーグ創業者マイケル・ブルームバーグ氏、テスラ創業者イーロン・マスク氏らの納税情報が暴露された」と日経新聞は伝えている。そして「上位25人の富裕層合計でみても富の増加分に対する税金支払額の比率は3.4%にとどまった」(同)。富裕層はほとんどが所得ではなく株式などの資産で報酬を受け取っている。株価はどんなに値上がりしても売却して利益を出さない限り課税されない。資産が増えても税金を払わなく済む構造になっているのだ。これが格差拡大を増長する。そんなシステムが市場経済の中に公然と組み込まれているわけだ。バイデン大統領は莫大なインフラ投資の財源を、法人税引き上げと富裕層の所得増税に求めている。富裕層にとっては痛くも痒くもない。だって彼らは所得を増やさない方策をすでに実施している。はて、打つ手は・・・
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