[シュルト/エルフトシュタット(ドイツ) 16日 ロイター] – 欧州西部を襲った記録的な豪雨で河川の氾濫により洪水が発生し、16日時点でドイツ西部などで約1300人の安否が確認されていない。水位の上昇が続き、一部地域で通信が途絶える中、ドイツとベルギー両国の死者は120人を超えた。
ドイツのラインラント・プファルツ州とノルトライン・ウェストファーレン州に加え、ベルギーとオランダで、河川の氾濫で住宅が押し流されるなど大規模な被害が発生。これまでにドイツだけでも103人の死亡が確認された。このうち12人は、夜間に鉄砲水に襲われたケルン南方のジンツィッヒにある障がい者施設の入所者だった。
地元メディアは、洪水による家屋倒壊が増えているため、犠牲者数が増加する恐れがあると報道。ベルギーではこれまでに少なくとも20人の死亡が確認され、安否不明は20人となっている。
ドイツでは16日時点で約11万4000世帯が停電。洪水に見舞われている一部の地域では携帯電話網が機能停止に陥り、被災者と連絡が取れない状態になっている。
ラインラント・プファルツ州では、ケルン南方のアールワイラー地区で約1300人の安否が未確認。ケルン当局の報道官は「ネットワークが完全に遮断され、インフラは完全に破壊された。病院は患者を受け入れられなくなっている」と述べた。
ドイツ政府は700人を超える軍隊を動員し、救援にあたっている。
独政府報道官によると、メルケル首相は次期首相候補であるキリスト教民主同盟(CDU)のラシェット党首から捜索や救助活動を巡る状況報告を受け、近く被災地を訪問する予定という。ARD(ドイツ公共放送連盟)は、メルケル首相が18日にシュルトを訪れると報じた。
当局は、ダムが決壊すれば下流地域が一段の洪水に見舞われる恐れがあるとして、放流を試みている。ドイツ西部シュタインバッハタール・ダムは昨晩にかけて決壊の恐れが高まったため、下流地域で約4500人が避難した。
気象学者は、気候変動の影響でジェットストリームの流れが変わったために今回の豪雨が引き起こされたと指摘。欧州委員会のフォンデアライエン委員長も、今回の洪水の規模を踏まえると気候変動が影響していることは明らかだとし、迅速に対応する必要があるとの考えを示した。