[ジュネーブ 16日 ロイター] – 世界保健機関(WHO)は16日、新型コロナウイルスの発生源に関する中国での調査の第2弾を実施することを提案した。武漢の研究所の監査も含まれる。外交筋によると、中国が国際的な調査をさらに認める兆しは今のところない。
WHOのテドロス事務局長が16日に実施した非公開の会合で、加盟国に調査第2弾の計画を打ち出した。テドロス事務局長は前日、武漢市で感染が拡大した最初の数日間に関する生データが不足しており、調査が妨げられていると指摘した。
第2弾の調査では、人、野生動物、武漢の海鮮卸売市場などの調査に加え、テドロス氏は「2019年12月に人の感染が確認された地域で運営されていた研究所や研究機関の監査」を実施したいとの考えを示した。
さらに「新型コロナウイルスの起源の調査は科学的な探求であり、政治の影響を受けることなく実施される必要がある」と強調。「中国が透明性を維持し、全ての関連データを共有することで、第2弾の科学的プロセスを支援すると期待している」と述べた。
外交筋によると、中国はこの提案に反発。「第2弾調査計画は将来の研究の基盤となるものではない」とし、反対を表明したという。
中国外務省の趙立堅報道官はこの日の定例記者会見でテドロス氏の発言について質問され、一部のデータは個人情報が含まれているため複製したり国外に持ち出したりすることができないと述べた。
外交筋の1人はロイターに対して、WHOの計画が「願い事」かどうかは不確かだと述べた。「中国がここ数カ月間主張してきたことに完全に逆らう内容だ」と指摘した。
中国国連代表部は15日夜に声明を発表し、途上国48カ国がWHOに書簡を送り、「発生源に関する世界的な調査」が政治ではなく科学に基づくものであるよう要求。同時に「米国をはじめとする数カ国が中国にレッテルを貼っており、発生源に関する調査を政治に絡めている」とした。