[ワシントン 4日 ロイター] – 米通商代表部(USTR)のタイ代表は4日、2020年2月に発効した第1段階の米中通商合意を中国が順守していないことについて、近日中に中国の劉鶴副首相と協議する意向を示した。中断している中国との通商協議を再開し「率直な」話し合いの中で中国政府に圧力をかけていくという。

米民間シンクタンクの戦略国際問題研究所(CSIS)主催のイベントで、中国による一部業界への数十億ドル規模の国家補助金が米企業に悪影響を与えているとし、米政府はこのような補助金をやめるよう中国に引き続き働きかけていくほか、あらゆる選択肢を確保しておくと表明。「何よりも米国の経済的利益を徹底的に守る必要がある。それは、長年にわたる不公平な競争によってもたらされたダメージからわれわれ自身を守るために必要な、あらゆる措置を講じることを意味する」とし、「他国や他の経済圏との協力を含めあらゆる手段の開発を検討し、展開する用意がある」と述べた。

また、米国の制裁関税の対象から特定の中国製輸入品を除外することを承認する「的を絞った」プロセスを復活させるとした一方、不公正な貿易慣行に対して制裁関税を発動できる通商法301条に基づく新たな調査開始を排除せず、中国側の対応次第だと強調した。

タイ代表は第1段階合意以外のより広範な問題に関しても中国政府と直接的に関与していくと指摘。中国政府の国内産業への大規模な補助金に関する対応を巡りトランプ前大統領が想定していた「第2段階」の通商協議については否定し、同問題については今後の協議で議論するとした。

さらに、バイデン政権は米国の競争力を高めるために技術や教育への投資やサプライチェーン(供給網)の強化を継続するとともに、他の主要な民主主義国と協力して中国の「非市場的な」行動に対応するとした。