今朝、ロイターやブルームバーグで配信された米国の動画配信サービス大手・ネットフリックスの決算が目を引いた。ロイターによると「7―9月期の契約件数は、韓国のホラー番組『イカゲーム』人気が呼び水となり、438万件増の2億1360万件と、予想を超えて増加した」という。「イカゲーム」、なんだ、それ!イカがゲームをするのだろうか?ネットフリッスはよく聞くが、見たことも触ったこともない。それが配信する「イカゲーム」、まるでトンチンカンだ。いったい、なんだろう、好奇心に火がついた。早速ググってみた。いろいろな情報が検索された。その中の一つ、タイトルは「『イカゲーム』が浮き彫りにした韓国の残酷なまでの格差社会、半地下やバラックで暮らす貧困層には日々の生活がイカゲーム」とある。JBpressに韓国在住のジャーナリスト、羽田真代(はだ・まよ)氏が投稿したものだ。以下はそこからの引用。
「世界的に大ヒットとなっているネットフリックスオリジナルドラマの『イカゲーム』。このドラマは、総勢456人が自らの命をかけて賞金争いをする模様を描いた韓国ドラマで、ネットフリックス史上、最も視聴者数が多い作品となるほどの人気を博している」。「韓国現地では、CNNが『本当に最高だ』と絶賛した」「イカゲームは投資額の約4倍もの価値を生み出した」「米国務省の外交電文にまで登場した」と、ニュースに取り上げられない日がない。映画『パラサイト 半地下の家族』以来のお祭り騒ぎである」。そして羽田氏は警告を発する。「しかし、世界からの評価を韓国は素直に喜んでいいものだろうか」。この辺から何やら雰囲気が変わってくる。「米外交官は、イカゲームの暗い物語の中心には、就職と結婚、そして階層を上がるために孤軍奮闘する、韓国の平凡な老若男女が感じる挫折感が描かれている。これは暗鬱な経済展望が韓国社会の悩みの中心にあるということを立証している」と指摘する。
どうやら単純なドラマではなさそうだ。ドラマを象徴するのが「半地下生活者」。半地下とは、半分が地下にある部屋のことで、「韓国においては格差や貧困の象徴」なのだそうだ。要するにこのドラマは半地下に住む韓国の貧困層が、富裕層に駆け上がるためにゲームを繰り返す。ゲームに博打の要素がはいっているのだろう。それを世界中の裕福な市民が試聴し、ネットフリックスが大儲けする。観たこともないドラマにケチをつけるのはいかがなものかと自省しつつ、命懸けの貧困層を上から目線で楽しむ富裕層と、間を取り持つネットフリックス。ドラマを取り巻く構造が格差を象徴しているような気がしてくる。ドラマを観た韓国人からは「このドラマを楽しめるのは生活に余裕がある人だけだ」「自分は、毎日12時間以上働いても娘と住むための持ち家が購入できない」「20代はフルタイムの仕事に就けない。韓国生活がイカゲームそのものだ」と羽田氏は街の声を拾っている。イカゲームの醸し出す空気になんとなく違和感がつきまとう。
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