けさメディアは一斉に経済対策の中身を伝えている。きょう閣議決定される内容だが、事前にリークされたのだろう。岸田首相は「数十兆円規模」とこれまで何回も強調してきた。経済規模が55.7兆円ということはこの発言の範囲内に収まるだろう。多くのメディアはこれまで規模については、「30兆円程度」と報道してきた。直前になって「40兆円規模」と見込みの数字が跳ね上がったが、開けてみれば56兆円に迫る規模になっている。昨年4月の補正予算48.4兆円を上回って史上最高の規模になった。これで経済対策は万全かと思いきや、日経新聞は「巨額の財政支出の割に、経済成長を中長期的に底上げする政策は決め手を欠く内容となっている」と批判的だ。この経済対策はバラマキではないのか、矢野財務事務次官の顔が真っ先に頭に浮かんだ。
個人的には積極的な財政出動が必要だと思っているので、事業規模で78.9兆円に達する今回の経済対策にイチャモンをつけようとは思わない。とはいえ、けさ記事を見ながら2、3気になった点がある。一つは来年度予算と合わせた通年予算になっていることだ。岸田首相は総裁選の公約として財政の単年度主義の見直しを提起している。16カ月予算という考え方は公約の実行でもある。気になるのは「経済対策は20年度予算からの繰越金や22年度予算案に盛り込む新型コロナ予備費の5兆円を加えた数字となっている」(日経新聞)という点だ。要は見かけ上の規模が水膨れしているのではないか、それが1点。もう一つは矢野次官が批判した通りこれは「バラマキ予算」ではないかという点だ。
最初の点について日経新聞には「対策規模の見せ方は最終盤まで揺れ動いた」とある。予算の規模を膨らまそうとするのは政治家の常。規模が大きい方が有権者受けすると大半の政治家は考えているのだろう。そんな小手先の操作に有権者は騙されるはずはないが、政治の現場ではいまだに“見かけ”にこだわる圧力が働いている気がする。それを何よるも雄弁に語っているのが「見せ方は最終盤まで揺れ動いた」という書き振りだ。繰越金や来年度予算をかき集め見かけ上の財政規模は膨らんだものの、経済成長を底上げする本物の経済対策はほとんどない。だから日経は「政策は決め手を欠く」と経済対策そのものを見下している。「新しい資本主義」関連に多少の期待は持てるものの、規模を膨らました分だけ評価は下がる。名ばかり対策とは言わないが、ワクワク感が乏しい対策だ。
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