【シリコンバレー時事】インターネット交流サイト(SNS)最大手、米メタ=旧フェイスブック(FB)=が仮想空間「メタバース」の開発を加速している。2日発表した2021年12月期決算では、担当部門で前期比5割増の101億9300万ドル(約1兆1700億円)の営業損失を計上。収益の伸びが鈍る中、覚悟を決め新領域に積極投資している様子が鮮明になった。

 10~12月期は、米アップルによるスマートフォンのプライバシー保護強化が広告収入を直撃し、10四半期ぶりの最終減益だった。ウェーナー最高財務責任者(CFO)によると、22年12月期も収益を100億ドル押し下げるという。21年12月末時点のFBアプリの月間利用者は9月末から横ばいで、停滞感が出ている。

 打開の切り札がメタバース「ホライゾン」だ。21年8月に仮想現実(VR)用のゴーグルを付けアバター(分身)で会議ができるサービスを開始。10月の社名変更後には、ホライゾンを一般開放するなど矢継ぎ早に手を打った。

 「勢いに満足だ」。ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)は、2日の電話会見で自信を示した。スマホ向けのホライゾンを今年提供するとも表明。「FBや(写真共有アプリ)インスタグラムからもアクセスできるようになる」計画だ。

 ただ、メタは猛烈な逆風下にある。インスタの利用が少女の心身に悪影響を及ぼしているとの調査結果を隠蔽(いんぺい)したと告発されたためだ。内部告発者は、同社がメタバースを通じて利用者の監視を強めるとの懸念を示しており、こうした見方が広がれば新規事業に待ったがかかりかねない。