【ニューヨーク＝村山誠】国連安全保障理事会は１１日、ウクライナ情勢に関する緊急会合を開いた。開催を要請したロシアは、米国がウクライナで生物・化学兵器開発に関与していると主張したが、国連は否定し、米欧も「侵攻を正当化するための虚偽情報だ」と相次いで批判した。

　ロシアのワシリー・ネベンジャ国連大使は、「ウクライナで米国防総省の支援を受けた生物兵器開発が行われている事実を発見した」と主張したが、具体的な証拠は示さなかった。

　一方、国連の中満泉事務次長・軍縮担当上級代表は会議の冒頭、ロシアが主張するウクライナでの生物兵器開発を「国連は認識していない」と否定した。

　米国のリンダ・トーマスグリーンフィールド国連大使は、「ロシアは安保理を利用して虚偽の主張を広め、ウクライナ侵攻を正当化しようとしている」と指摘。ロシアがウクライナで生物・化学兵器を使用するための布石として、虚偽情報を主張している可能性を「深刻に懸念している」と述べた。

　欧州の理事国からも、「ロシアの主張には根拠がなく、情報戦の一部だ」などと非難の声が上がった。