注目の米中高官協議がきのう、イタリアの首都・ローマで実施された。けさのニュースでは、何が話し合われたのかまったくわからない。会談後ホワイトハウスは協議の具体的な結果や合意などは発表しなかった。当局が発表しなければこの手の協議の中身は世の中に全く伝わらない。中国外務省の趙立堅報道官は14日、ロシアの支援要請の報道について、「偽情報」であり「悪意がある」とコメントした。いつも顰めっ面をしているあの報道官だ。高官協議の前に米国のメディアは「ロシアが中国に支援を要請した」と報道している。これに対する反論だ。ロシアの支援要請はだいぶ前から
行われているとの情報もある。「支援要請」自体が情報戦争の一環かもしれない。メディアが報道しない限り、市井の民間人が事実を知る術はない。推測だけが頼りだ。
ウクライナとロシアの停戦協議も一時中断され、きょう再開されるようだ。こちらも協議の内容は明らかではない。協議の内容が不明のまま、世界中で情報戦争が繰り広げられている。米人ジャーナリストの殺害に関してロシアの国連大使は、「現場はウクライナ軍が支配している地域」と、殺害はまるでウクライナ軍による仕業とばかりの主張をしている。おぞましい限りだ。ブルームバーグ(BB)によると、ロシア国営テレビのニュース番組の生放送中に、アンカーの背後で若い女性が「戦争をやめろ。プロパガンダを信じるな。彼らはあなたにうそをついている」と書いたプラカードを掲げて報道を遮る驚きの一幕があった。こちらはビデオで確認できる。NHKも取り上げていた。国営テレビで放送されたこれは真実の情報戦争だ。プーチンの足元での勇気ある行動だ。だが、この女性は当局に拘束されたようだ。
熾烈を極める情報戦争の中で開かれた高官協議。米国も中国も協議の中身について固く口を閉ざしている。中国の沈黙は理解できる。「寄らしむべし、知らしむべからず」、強権国家の常識だ。情報共有は民主主義の原点だ。米国の沈黙こそがこの協議の不調を雄弁に物語っている。サリンジャー大統領補佐官はウクライナ戦争に対する米国の懸念を中国に伝えている。柱は①ロシアへの軍事的支援に対する懸念②経済制裁への同意③北朝鮮の核問題―といったところだろう。協議時間はロイターが7時間、ブルームバーグは6時間と伝えている。異例の長時間協議だ。成果はあったのだろうか。想像するしかないが米国の必死の要請に対して中国は、ほとんど頷かなかったのではないか。中国は米ロの対応を天秤にかけながら、ひたすら算盤を弾いている。もちろん国際世論の動向も気にかけている。ウクライナ戦争はこの3国の力関係を試している気がする。
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