[東京/ニューデリー 20日 ロイター] – 日印両首脳は19日にインドのニューデリーで会談し、ウクライナで続く戦闘行為の即時停止を求めた。岸田文雄首相は会談後の共同会見で、「力による一方的な現状変更はいかなる地域においても許してはいけないこと」をモディ首相との間で確認したと述べた。日本から今後5年間でインドに5兆円を目標に投資することでも一致した。
武器を購入するなどロシアと関係が近いインドは、ウクライナに侵攻したロシアに対する国連の非難決議を棄権している。
岸田首相は会見で、ウクライナ情勢について少人数の場で時間をかけて「突っ込んだやりとりを行った」と説明。モディ首相に対し、ロシアに毅然と対応することが必要との考えを伝えたとした。その上で、国際法に基づく平和的な解決を求める必要があること、「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けた取り組みを進めることが一層重要になったことを確認したと語った。
会談後に両首脳が署名した共同声明は、ウクライナ情勢を「紛争(conflict)」と表現。人道的危機への深刻な懸念を表明した。また、戦闘行為の即時停止を要求することと、解決のためには対話と外交以外に選択肢はないことを強調した。
両首相は、東シナ海、南シナ海における一方的な現状変更の試みや経済的威圧についても強く反対していくことでも一致した。外務・防衛担当閣僚会合(2プラス2)を早期に開催することも確認した。
経済分野では、今後5年間で対インド投資5兆円の目標を掲げることで一致。総額3122億5800万円を限度とする円借款プロジェクトにも合意した。
日本の首脳がインドを訪問したのは、2017年9月の安倍晋三首相(当時)以来4年半ぶり。岸田首相は20日、東南アジア諸国連合(ASEAN)議長国のカンボジアを訪問し、フン・セン首相と会談する。
(杉山健太郎 編集:久保信博)