[ブチャ/リビウ(ウクライナ) 25日 ロイター] – ウクライナ軍が首都キエフ郊外の町奪還に向け攻勢を強める中、ロシアは25日、親ロシア派が実効支配するウクライナ東部ドンバス地域に集中すると表明し、ウクライナでの野心的な計画の縮小を示唆した。

25日は西側諸国の対ロ制裁が中国による投資に影響を与えていることが初めて明らかになった。

関係筋によると、中国国有の石油・ガス大手、中国石油化工(シノペック)グループが、ロシアの大規模な石油化学投資とガス販売事業に関する協議を打ち切ったという。

ロシアのウクライナ侵攻は1カ月に及んでいるが、ロシア軍はウクライナ軍の激しい抵抗にあい、主要都市を占領できていない。代わりにロシア軍は主要都市を砲撃し、住宅エリアを荒廃させており、ウクライナの人口4400万人のうち約4分の1が避難する事態となっている。

そのうち370万人以上が国外に退避。その半分は隣国ポーランドに向かっている。

訪欧中のバイデン米大統領は25日、ポーランドの南東部ジェシュフを訪れ、駐留する米軍部隊を激励。米兵士らと食事を共にし、「あなたたちは民主主義とロシアの新興財閥(オリガルヒ)との戦いの真っただ中にいる」と語った。

その後、ウクライナ避難民への人道援助に関する状況説明を受け、ドゥダ大統領らとの会合の冒頭で「人道的危機を直接自分の目で確認するためにポーランドを訪れた」と指摘。

「何十万人もの人々がロシア軍によって支援を断たれ、マリウポリのように包囲されている。まるでSF映画のような光景だ」と述べた。

こうした中、英国防省は25日、ウクライナが首都キエフの東35キロの地点まで町と防衛陣地を奪還したと表明。ロシア軍が補給路の不足で後退しているという。

一方、ロシア国防省は25日、ウクライナにおける「軍事作戦」の第一段階はほぼ完了したとし、ウクライナ東部ドンバス地域の完全「解放」に焦点を当てると発表。ロシアがウクライナの激しい抵抗に直面する中、より限定された目標に切り替えている可能性を示唆した。

また、ウクライナの戦闘でこれまでにロシア軍の死者は1351人、負傷者は3825人になったと発表した。その上で、プーチン大統領が設定した目標を達成するまで、「作戦」は続けられるとした。

ウクライナ側は1万5000人のロシア軍人が死亡したと発表している。

ロシア軍の砲撃で最も大きな打撃を受けた南部マリウポリの地元当局は25日、16日の劇場への爆撃に伴う死者数を確定することはまだ不可能だが、「目撃者の情報によると、ロシア軍用機による爆撃の結果、マリウポリの劇場で約300人が死亡した」と明かした。

和平交渉に関しても大きな進展は見られていない。

ウクライナのクレバ外相はフェイスブックへの投稿で、ロシアとの和平交渉は困難であるとし、6件の重要課題のうち4件で解決に向け進展があったとの報道を否定。「ウクライナの代表団は強硬な立場をとっており、要求を諦めない。われわれはまず停戦、安全保障、ウクライナの領土保全について主張する」とした。

一方、ロシアとウクライナの和平交渉でロシア側を代表するメジンスキー大統領補佐官は25日、二次的な問題については双方に歩み寄りが見られる一方、重要な問題での進展は限られているという見解を示した。

また、ロシアのプーチン大統領は25日、西側諸国はチャイコフスキーやショスタコービッチといった大作曲家を含むロシア文化全般を拒否しようとしていると批判した。