米テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)がツイッターの株式9.2%を取得したことが4日付の当局への届け出で明らかになった。マスク氏は1週間前にソーシャルメディア業界に改革を起こす可能性を示唆していた。
マスク氏(50)の株保有を好感し、ツイッター株は4日の米株式市場で一時約30%上昇。日中上昇率としては過去4年余りで最大を記録した。同氏が取得したツイッター株の価値は先週末の終値を基準にすると約28億9000万ドル(約3550億円)となる。
同氏は先月、ツイッターが言論の自由の原則を守っているかどうかを8000万人余りのフォロワーに問い掛け、70%以上が「ノー」と答えた。これを受けてマスク氏は、新しいプラットフォームが必要だろうかとツイートし、さらに独自のプラットフォームを自身が創設することを真剣に検討すると述べた。
マスク氏による株取得は、昨年11月にツイッターの新CEOに就任したパラグ・アグラワル氏にとって新たな試練となりそうだ。アグラワル氏はCEO就任に際し、説明責任の向上や意思決定の迅速化などを約束していた。また同社は2023年末までに年間売上高を75億ドル、1日当たりユーザー数を3億1500万人に増やすといった野心的な計画を掲げている。
ツイッター、アグラワル氏を新CEOに指名-ドーシー氏退任 (1)
一方でマスク氏は、ツイッターがジャック・ドーシー氏の後任としてアグラワル氏のCEO就任を発表したのを受け、昨年12月に暗号めいたツイートを投稿していた。同投稿では旧ソ連の独裁者スターリンの写真の顔部分をアグラワル氏に加工し、粛正された秘密警察の幹部ニコライ・エジョフの位置にドーシー氏を貼っていた。
ウェドブッシュのアナリスト、ダン・アイブス氏は「イーロンはツイッターにレーザーの照準を合わせたようだ」と顧客向けリポートで指摘。9.2%の持ち分が「より積極的な株主の役割」につながる可能性があると記した。
ツイッターはフェイスブックやアマゾン・ドット・コムなどと違い、創業者が特別な議決権を持っていないため外部からの圧力に対して弱い。マスク氏が持ち分を使って何を計画しているかは現時点で不明だ。
原題:Musk Takes 9.2% Stake in Twitter After Hinting at Shake-Up (3)、
Musk’s Twitter Move Follows Hint at Umbrage With Dorsey’s Exit