ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交などウクライナ情勢をめぐる4日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナ、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

ゼレンスキー大統領「これは戦争よりひどい ジェノサイドだ」

ウクライナのゼレンスキー大統領は4日、多くの市民が路上で死亡しているのが見つかった、首都キーウ北西のブチャで報道陣の取材に応じ「数千人の市民が戦車でひき殺されたり手足を切断されたりし、女性は暴行を受け、子どもたちも殺されている。世界はこれが戦争犯罪だということを認めなければならない」と訴えました。
そのうえで「これは戦争よりひどい。ジェノサイドだ」と述べ、民族などの集団に破壊する意図をもって危害を加える「ジェノサイド」だとして強く非難しました。
またゼレンスキー大統領は、停戦交渉が進展していないことに触れ「ロシア軍の非道な行為が日増しに明らかになっていて、交渉が長引くほど、ロシア側にとって結果は悪くなるだろう。もし彼らにまだ考える能力があるならば、交渉は早く進めたほうがよい」と述べました。

ロシア軍が包囲 マリウポリの市長「町の9割近くが破壊」

ロシア軍に包囲されている東部の要衝マリウポリのボイチェンコ市長は4日、オンラインで記者会見を行い「ロシア軍の攻撃が激しさを増していて、町の9割近くが破壊され、4割は修復ができない状況だ」と明らかにしました。
そしていまも10万人以上の住民が取り残されているとして「食料や水、電気などがない状態が1か月以上も続いている。できるだけ早く避難させなければならないが、ロシア軍の妨害があり状況はとても困難だ」と訴えました。

ブチャを訪れたキーウ クリチコ市長「絶対に許さない」

ウクライナの首都キーウ(ロシア語でキエフ)のクリチコ市長は、多くの市民の遺体が見つかったキーウ北西のブチャを、3日に訪れました。
クリチコ市長は、路上に散乱したがれきや壊れた兵器を背に「ブチャで見た恐ろしい光景は、映画のワンシーンではなく現実だ。市民が体の後ろで手を縛られたまま銃で殺害されるなど、むごすぎる」と述べました。
そのうえで「同じようなことがウクライナのほかの都市でも行われていると確信している。侵略者は重い代償を払わなければならない。われわれの市民に対して犯したことを絶対に許さない」と怒りをあらわにしました。

プーチン大統領 EUなどにビザの簡素化の手続き停止の報復措置

ロシアのプーチン大統領は4日「外国の非友好的な行為に対する新たな報復措置」として、これまで行ってきたビザの簡素化の手続きを停止する大統領令に署名しました。
停止する対象として、EU=ヨーロッパ連合、ノルウェー、アイスランド、スイス、リヒテンシュタインなどをあげています。日本は含まれていません。ロシアのビザをめぐっては、ラブロフ外相が、ロシア政府が定める「非友好的な国と地域」の市民に対して、入国を制限する措置を検討していることを先月28日に明らかにしていました。
「非友好的な国と地域」のリストには、日本も含まれていることから、将来、日本に対しても、ビザの簡素化の手続きが停止される可能性もあるとみられています。

トルコ物価 前年同月比61%余上昇 軍事侵攻が影響

トルコの統計局が4日発表した先月の消費者物価指数は、前の年の同じ月と比べて61.14%上昇し、2002年以来、20年ぶりの高い水準になりました。トルコは天然ガスのおよそ40%をロシアから輸入するなど経済的な結びつきが強く、地元メディアは「ウクライナ情勢に伴うエネルギー関連のコストが上昇した」と指摘しています。
そのうえで、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻がインフレに拍車をかけているとして、こうした状況が今後も続くという見方を示しています。
トルコ政府は、ロシアとウクライナの仲介役を担い停戦にむけた糸口を探る一方で、国内に向けては国民の負担を軽減しようと、食品など一部の商品について日本の消費税にあたる付加価値税を大幅に引き下げるなどの対応をとっていますが、市民生活への影響は深刻さを増しています。

”多くの市民死亡” ロシア側「ねつ造やフェイクの兆候明らか」

ウクライナの首都キーウ・ロシア語でキエフ北西のブチャで、多くの市民が死亡しているのが見つかり、ロシアの責任を問う声が強まっていることに対し、ロシア大統領府のペスコフ報道官は4日「これらの映像について、われわれの専門家はねつ造やフェイクの兆候が明らかだとしていて信用できない。ブチャで市民が殺害されたとするいかなる非難も断固として拒否する」と述べ、ロシア側の関与を否定しました。
そのうえで「この問題は、高いレベルで話し合われるべきだ」と述べ、国連の安全保障理事会に提起したい考えを示しました。
またロシア外務省のザハロワ報道官は4日、SNSで「ウクライナ政府の目的は、停戦交渉を混乱させ、暴力をエスカレートさせることにある」と投稿し、ウクライナ側が停戦交渉に影響を与えようとしているなどと一方的に主張しています。

林外相 避難民20人程度を政府専用機に乗せ日本へ

ウクライナからの避難民の受け入れを進めるため、ポーランドを訪問中の林外務大臣は、政府要人と相次いで会談しています。林大臣は、4日夜、政府専用機で帰国する際、日本への避難を希望する20人程度を乗せることにしていて最終的な準備を進めています。

フランス大統領「もっとも強い言葉で非難」

フランスのマクロン大統領は、ウクライナの首都キーウ近郊などで多くの市民が死亡しているのが見つかったことについて、4日、ラジオ局のインタビューの中で「受け入れがたく、もっとも強い言葉で非難する。戦争犯罪が行われた明白な形跡がある」として、実態の解明に向けてウクライナ当局による調査に協力する用意があると述べました。また、多くの市民が犠牲になったキーウの北西、ブチャに展開していたのはロシア軍だったと指摘したうえで、「この犯罪の責任者は説明をしなければならない。予断はもたないがほぼ間違いなくロシアによる行為だろう」と述べ、ロシアが関与していた可能性が高いという認識を示しました。そのうえで、今後、ヨーロッパ各国と協調してロシアに対する経済制裁を強化する必要があるという考えを示しました。

岸田総理「避難民 受け入れ数を拡大したい」

岸田総理大臣は自民党の役員会で、多くの市民が死亡しているのが見つかったことについて「断じて許されない」と厳しく非難したうえで、ウクライナからの避難民の受け入れについて「林外務大臣らをポーランドに派遣し、現地の状況を直接確認するとともにニーズを把握し、政府専用機で希望する避難民を日本に輸送したい。受け入れ先とのマッチングや日本語教育、就労・就学などの支援を行い、円滑に受け入れ数を拡大していきたい」と述べました。

林外相「ロシアの責任 厳しく問われなければならない」

林外務大臣は「極めて深刻に受け止め、強い衝撃を受けている。むこの民間人の殺害は、重大な国際人道法違反であり、断じて許されず、厳しく非難する。こうした残虐な行為の真相は明らかにされなければならず、ロシアの責任は厳しく問われなければならない。わが国としても、ICC=国際刑事裁判所に付託しており、ICC検察官による捜査の進展を期待する」などとする談話を発表しました。

経団連会長「サハリン2」撤退しない政府方針 “現実的な判断”

日本の大手商社が出資するロシア極東の天然ガスの開発プロジェクト、「サハリン2」などをめぐり、政府が撤退しない方針を示したことについて、経団連の十倉会長は「代わりの天然ガスは簡単に調達できない」と述べ、現実的な判断だという考えを示しました。

少なくとも1417人の市民が死亡 国連人権高等弁務官事務所

国連人権高等弁務官事務所は、ロシアによる軍事侵攻が始まったことし2月24日から4月2日までに、ウクライナで少なくとも1417人の市民が死亡したと発表しました。また、けがをした人は2038人にのぼるということです。多くの人たちは砲撃やミサイル、空爆などによって命を落としたり、負傷したりしたということです。今回の発表には、ロシア軍の激しい攻撃を受けている東部マリウポリなどで、確認が取れていない犠牲者の数は含まれておらず、国連人権高等弁務官事務所は、実際の数はこれよりはるかに多いとしています。

417万人余りがウクライナ国外に避難 UNHCRまとめ

UNHCR=国連難民高等弁務官事務所のまとめによりますと、ロシア軍の侵攻を受けてウクライナから国外に避難した人の数は、2日の時点で417万人余りとなっています。主な避難先はポーランドがおよそ242万人、ルーマニアがおよそ63万人、モルドバがおよそ39万人、ハンガリーがおよそ38万人、などとなっています。また、ロシアに避難した人は、3月29日の時点でおよそ35万人となっています。

松野官房長官「避難民 4月2日までに393人が入国」

松野官房長官は、午後の記者会見で「岸田総理大臣がウクライナ避難民の受け入れを表明した先月2日以降、4月2日までに避難を目的としてわが国に入国した人は393人だ」と述べました。

「数百人の市民が殺害された」と投稿

ロシア軍の激しい攻撃が続いていた北東部のスムイ州の州知事は4日、SNSのテレグラムにみずからの動画を投稿し、「ロシア軍がスムイ州から撤退し始めたことを確認した」と明らかにしました。投稿では「数百人の市民が殺害された」としていて、「世界がこれまでに見たことのない悲惨な行為だ」として強く非難しています。

国際的な人権団体 市民の目撃証言などを発表

国際的な人権団体「ヒューマン・ライツ・ウォッチ」は、ウクライナ市民がロシア軍の兵士に殺害される様子の目撃証言などを発表し、戦争犯罪として調査する必要があると指摘しています。「ヒューマン・ライツ・ウォッチ」は、3日、キーウ近郊の市民など合わせて10人から聞き取った証言を発表しました。

それによりますと、首都キーウの北西ブチャに住む女性は、先月4日、ロシア軍にほかの市民とともに広場に集められたということです。そして、ロシア軍の兵士がおよそ40人の市民の前で、5人の男性をひざまずかせた上、1人の頭を撃ち、「われわれは汚れを洗い流すために来た」と発言したということです。また、ハルキウ州の女性は、先月13日、避難していた学校に現れたロシア兵に性的暴行を受けたと証言しています。

調査を行った団体の担当者は「ウクライナの市民に対する恐ろしい意図的な残虐行為と暴力だ」と非難し、戦争犯罪として調査する必要があると指摘しました。

ゼレンスキー大統領 グラミー賞授賞式にビデオメッセージ

アメリカ音楽界最高の栄誉とされるグラミー賞の授賞式に、ウクライナのゼレンスキー大統領がビデオメッセージを寄せました。この中でゼレンスキー大統領は「ウクライナの音楽家はタキシードを着ているのではなく、武装している。そして、負傷した人たちのために歌っている。私は、グラミー賞のステージに立っている皆さんと同じように自由を勝ち取ることを夢見ている」と述べました。

松野官房長官「避難民 林外相と帰国する可能性を追求したい」

松野官房長官は、午前の記者会見で「現地で引き続き調整中だ。政府は調整がつく場合に、出張中の林外務大臣が避難民の方々と帰国する可能性を追求していきたい」と述べました。

キーウ近郊で市民遺体 岸田首相「国際法違反の行為 厳しく批判」

岸田総理大臣は、4日午前、総理大臣官邸で記者団に対し「民間人に危害を加えるという国際法違反の行為を厳しく批判する。国際社会で非難が高まっていることを承知しており、日本もこうした人道上問題となる行為、国際法違反の行為を厳しく批判し、非難していかなければならない」と述べました。そのうえで「さらなる制裁については、全体の状況を見ながら国際社会としっかり連携し、わが国としてやるべきことをしっかり行っていきたい」と述べました。

アメリカ ブリンケン国務長官がNATO外相会合出席へ

アメリカ国務省はブリンケン国務長官がNATO=北大西洋条約機構の外相会合に出席するため、今月5日から7日の日程でベルギーの首都ブリュッセルを訪問すると発表しました。会合ではロシアによる軍事侵攻を止めるための対応やウクライナへの支援について協議するということです。ブリンケン国務長官は現地でG7外相会合にも出席するとしています。

ゼレンスキー大統領 ビデオメッセージでロシアを非難

ウクライナのゼレンスキー大統領はビデオメッセージで、ロシア軍が撤退した首都キーウ近郊の地域で多くの市民の遺体が見つかったことについて「何百人もの市民が拷問を受けて殺害された。路上には遺体が並んでいる。そして遺体にまで地雷が設置されている」と述べ、ロシア軍が残虐行為を行ったと強く非難しました。
そのうえで「世界ではこれまで多くの戦争犯罪が起こってきたが、これで最後にするために全力を尽くす時だ。ロシアには追加の制裁が科されるだろうが、それだけでは足りない」と述べ、なぜウクライナがこれだけの被害を受けたのか、その経緯にも目を向けるよう国際社会に求めました。

「民間人410人の遺体」ウクライナ検事総長

ロシア軍が撤退したウクライナの首都キーウの近郊で多くの市民の遺体が見つかったことについて、ウクライナのベネディクトワ検事総長は自身のフェイスブックを更新し「これまでに410人の民間人の遺体が運び出された」と明らかにしました。

「これは大虐殺だ」ゼレンスキー大統領

ロシア軍が撤退した首都キーウ近郊の地域で多くの市民の遺体が見つかったことについてウクライナのゼレンスキー大統領は3日、アメリカのCBSテレビに出演し「これは大虐殺だ。国家と国民全体を抹殺しようとしている。これが21世紀のヨーロッパで起きていることで、ウクライナという国全体に対する拷問だ」と訴えました。

またアメリカのブリンケン国務長官はCNNテレビに出演し「胸をえぐられるような映像にほかならない。これを当たり前のこととしてはならない。ロシアのウクライナに対する残虐な行為が続いていて現地では毎日こうしたことが起こっている」とロシアを激しく非難しました。

キーウ近郊で多数の市民遺体 各国から非難相次ぐ

ロシア軍が撤退したウクライナの首都キーウの近郊で多くの市民の遺体が見つかったことについて、イギリスのジョンソン首相は声明を発表し「ロシアがイルピンやブチャで罪のない市民に対し行った攻撃は、プーチン大統領やロシア軍が戦争犯罪を行っていることを示すさらなる証拠だ」などと強く非難し、国際刑事裁判所に協力してその責任を追及していく姿勢を強調しました。

フランスのマクロン大統領はツイッターへの投稿で「現地からの映像では数百人の市民が卑劣にも路上で殺害されており、耐え難いものだ。ロシア当局はこの犯罪に対する報いを受けなければならない」として強く非難しました。

イタリアのドラギ首相も声明で「武装していない一般の市民を虐殺する残酷さは恐ろしくて耐えられないものだ。ロシア当局は直ちに市民に対する暴力をやめ、この行為の責任をとらなければならない」と非難しました。

国連のグテーレス事務総長は声明を発表し「ウクライナのブチャで殺害された市民の映像に深い衝撃を受けている。説明責任につながる独立した調査が不可欠だ」として、責任を明らかにするための調査が必要だと強調しました。

ドイツのショルツ首相は「市民の殺害は戦争犯罪だ。ロシア軍が引き起こしたこれらの犯罪を徹底的に調べなければならない」とロシアを強く非難し「同盟国などとともに近くさらなる措置を決める。ウクライナがロシアの軍事侵攻に対して自衛できるように武器の提供を続ける」と述べました。

米国務長官 ウクライナへの戦車供与 言及避ける

アメリカのブリンケン国務長官は3日、出演したCNNテレビでバイデン政権がウクライナへの戦車の供与を支援するとアメリカのメディアが報じたことについて問われたのに対し「具体的な兵器の詳細については触れられない」として言及を避け「私たちが目指しているのはウクライナが必要とし、すぐに使える武器を確保することだ」と述べました。
攻撃力の高い兵器をウクライナに供与することはロシア側との緊張を高めるおそれがあるとして西側諸国は慎重な姿勢を続けていて、アメリカ政府の対応に関心が集まっています。

“11村の村長がロシア軍に拉致” ウクライナ副首相

ウクライナのベレシチュク副首相は3日に行った記者会見で、ロシア軍が撤退した首都キーウ近郊の村の村長が拉致されたあと殺害されたことを明らかにし「これは戦争犯罪で処罰を受けるべきだ」とロシアを非難しました。さらに首都周辺のキーウ州や、南部ヘルソン州、東部ハルキウ州などにある11の村の村長がロシア軍に拉致されていると発表しました。

アメリカ モルドバに5000万ドルの追加支援表明

ウクライナから多くの人が避難している隣国のモルドバをアメリカのトーマスグリーンフィールド国連大使が訪れ、先の3000万ドルの支援に追加して新たに5000万ドル(日本円で61億円余り)をアメリカ政府として追加で支援すると表明しました。人口260万のモルドバにウクライナから避難した人は39万人を超え、このうちおよそ10万人が今もとどまっていますが、滞在場所が不足しているほか、経済的に大きな負担になっています。

ウクライナからの避難者 帰国の動きも

ウクライナから国外に逃れた人の中には長引く避難生活に疲れたり、仕事や介護の必要に迫られたりして帰国する人たちの姿も目立ち始めています。ポーランド南東部のメディカにある国境の検問所では3日も多くの女性や子どもが避難してくる一方、ウクライナに戻る人たちの列もできていました。ウクライナに帰国する人の正確な人数は公表されていませんが、国境の検問所や駅ではウクライナに戻る人の姿が目立つようになっています。