[ロンドン 5日 ロイター] – ロシアのプーチン大統領は5日、ロシアは敵対的な国に対する食料輸出に細心の注意を払う必要があると述べ、西側諸国の制裁措置で世界的な食料危機が引き起こされる恐れがあるとの見方を示した。
ロシアによるウクライナ侵攻を受け西側諸国が導入した制裁措置で、ロシア経済は1991年のソ連崩壊以来最悪の経済危機に直面する恐れがある。ただロシアは、世界の方がより大きな影響を受けるとの見方を示している。
プーチン大統領は食料生産開発に関する会議で、エネルギー価格の上昇と肥料不足が重なれば、西側諸国が物資を買い占め、貧困国で食料不足が発生すると警告。「貧困国で食料不足が悪化すれば、新たな移民の波が発生し、食料価格は一段と上昇する」と述べた。
その上で「世界的な肥料不足は回避できない」とし、「ロシアは食料輸出に細心の注意を払う必要がある。特に敵対国への輸出を注意深く監視しなければならない」と述べた。
ロシアは世界最大の小麦輸出国であると同時に、肥料の主要生産国。プーチン氏は、制裁措置でロシアとベラルーシからの肥料の輸送が妨げられているほか、天然ガス価格上昇で西側諸国では肥料の製造コストが上昇していると指摘した。
また、ロシアの海外資産の国有化は「もろ刃の武器」だとし、ロシアが対応する可能性を示唆した。
ドイツは4日、ドイツ事業からの撤退を表明したロシア国営の天然ガス大手ガスプロムのドイツ子会社の経営権をエネルギー規制当局が取得すると発表。英政府も、ガスプロムの英小売部門を一時的に運営する可能性を示している。