最近は寝ても覚めてもウクライナ戦争が気になっている。週末のニュースで目を引いたのは、9日に英BBC放送が伝えたウクライナ侵攻の総司令官が任命されたというニュース。プーチンはクリミア半島や南部チェチェン共和国などを管轄するロシア軍の南部軍管区(司令部ロストフナドヌー)のトップ、アレクサンドル・ドボルニコフ上級大将を総司令官に任命した。メディアが伝えるところによるとこの人物は、名うてのやり手のようで、BBCを転伝した時事ドットコムによると、「2015年からのシリア軍事介入の総司令官として『豊富な経験』(欧米当局者)を有する」とある。それ以上に気になるのはこの時に、「市民の犠牲を顧みず、弱体化したアサド政権の形勢挽回を指揮した軍人だ」としている点だ。
NHKによると米国のサリバン大統領補佐官は10日、CNNテレビに出演し次のように語った。「シリアで市民に対して残虐行為に及んだ過去がある」と。ロシア軍が撤退したブチャでは、残忍な戦争犯罪が次々と明らかになっている。そんな時に「シリアで残虐行為に及んだ」人物を総司令官に任命したプーチンの意図ははっきりしている。「ウクライナ東部を焼き尽くし明確な勝利を手にせよ」といったところだ。キーウの制圧に失敗し、北部戦線から撤退を余儀なくさたロシア軍は、目標をドンバスなど東部戦線での大々的な勝利に変更した。5月9日には第2次大戦でナチス軍を撃退した「対独戦勝記念日」を控えている。ウクライナ戦争の目的は、ロシアの安全を守るためではなく、プーチンの面子を維持するための戦争に変質した。そのためには市民に対する無差別攻撃も、化学兵器や核兵器の利用も厭わない。
これに対抗すべく欧米やNATOはウクライナに対する武器の供与を積極的におこなっている。米国はすでに対空ミサイル「スティンガー」、対戦車ミサイル「ジャベリン」などを提供している。これに加えて自爆型の無人機「スイッチブレード」やレーザー誘導ロケット、多目的装甲車なども提供されるようだ。軍事専門家によると、これだけの武器があれば、ウクライナは十分ロシア軍に対抗できるとの解説もある。ウクライナ戦争の実態はすでに第3次世界大戦に移行しているような雰囲気だ。NHKによると、停戦交渉を担当しているウクライナのポドリャク大統領府顧問は9日、「東部での戦闘に勝ってから実質的な交渉の立場を得ることができる」と述べている。問題は東部で大規模な戦闘になれば、さらに市民の犠牲が増えることだ。なんとかならないか・・・。
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