[ワシントン 19日 ロイター] – イエレン米財務長官は19日、ロシアによるウクライナでの戦争は世界が直面している「すでに悲惨な」食糧難の状況を悪化させ、価格面および供給面でのショックが世界のインフレ圧力に拍車をかけていると述べた。

高官級のパネルで、ウクライナ戦争以前から世界人口の10%に当たる8億人以上が慢性的な食料不足に苦しんでいるとし、食料価格の上昇だけで世界で少なくとも1000万人以上が貧困に陥るとの推計があると指摘。各国は一段の物価上昇につながりかねない輸出規制を避ける一方、脆弱な人々や零細農家を支援すべきとした。

その上で「この責任はロシアの行動にあることを明確にしたい」と語り、米国はパートナー国や同盟国と緊急に協力し「世界で最も脆弱な人々に対するロシアの無謀な戦争の影響軽減に資する」とした。

また、ロシアに対する制裁措置などを強化し続ける中でも必要不可欠な人道支援を承認し、世界中の人々のために食料や農産物の供給を確保するという米政府のコミットメントを強調。より長期的な耐性を強化することも重要とし、国際的な金融機関に対し、世界的な肥料不足を緩和し、サプライチェーン(供給網)の混乱を円滑にするよう呼び掛けたほか、各国の食料生産を高めるために農業への投資を増やすことが可能だと訴えた。