塩野義製薬が開発する新型コロナウイルス感染症の経口薬について、米政府が購入を視野に同社と交渉を行っている。事情に詳しい関係者が明らかにした。
21日の米株式市場で塩野義の米国預託証券(ADR)は急騰、一時12%高となった。
新型コロナはパンデミック(世界的大流行)となってから2年余りが過ぎ、米国での死者は累計100万人に近づいている。こうした中、バイデン米政権はコロナ治療薬の備蓄拡充に取り組んでいるが、ファイザーなどとの既存契約に支払う資金を多く必要としているため、塩野義製など新たな治療薬を調達するには資金確保が課題となる可能性がある。
米政府による塩野義との購入交渉は予備的な段階だという。秘匿性の高い内容を含む協議であることを理由に、関係者が匿名で語った。
塩野義の広報担当者は「この薬を患者に届けるため、世界中の政府や保健当局と協力できることを楽しみにしている」と説明。米政府との協議については言及していない。
バイデン政権は先に、治療薬の確保がコロナ感染で最悪の結果を食い止めることになると指摘。一方で、より多くの治療薬を調達するための資金が不足していることに警鐘を鳴らしていた。
原題:U.S. Said to Have Had Talks With Shionogi to Buy Covid Drug(抜粋)