Steel billets manufactured by Azovstal Iron & Steel works sit on the dockside ahead of export at the Port of Mariupol, one of Ukraine’s biggest commercial sea ports, in Mariupol, Ukraine, on Monday, March 24, 2014. Ukraine’s government wants to complete bailout talks with the International Monetary Fund as early as today to avert a default and curb the damage to the economy from a four-month political crisis. Photographer: Vincent Mundy/Bloomberg

かつて1万人以上の労働者が鉄鋼製品の製造・販売に従事していたウクライナのアゾフタル・アイロン・アンド・スチール・ワークス。南部マリウポリの同社製鉄所では食料や医薬品が底をつく中、今もウクライナ軍兵士2000人余りと子どもを含む多くの民間人がロシア軍の攻撃を耐え忍んでいるといいます。アゾフタル製鉄所での抵抗は巨大なペルシャ軍に戦いを挑んだギリシャのスパルタや、明治政府に対して蜂起した西郷隆盛ら士族のように歴史に刻まれ、残酷な運命に対峙(たいじ)した人々の強い覚悟は後世に語り継がれるだろうと、アンドレアス・クルス氏がコラムに記しています。以下は一日を始めるにあたって押さえておきたい5本のニュース。

ハエ一匹逃さぬ

ウクライナ軍兵士2000人余りがマリウポリのアゾフスタル製鉄所に立てこもっているとロシアのショイグ国防相は説明したが、プーチン大統領は同市の「制圧」を宣言し、作戦成功を誇示した。さらにロシア軍兵士の命を救うためだとして、同製鉄所への攻撃中止を国防相に指示。同時に「ハエ1匹通り抜けられないような封鎖」を命じ、残っているウクライナ軍兵士に投降を呼び掛けた。マリウポリのボイチェンコ市長は市内には約10万人の民間人が残っており、そのうち300-1000人程度が製鉄所のシェルター内にいると説明。バイデン米大統領はマリウポリが完全に陥落した証拠はまだないと述べた。

5月に0.5ポイント

米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は、5月の連邦公開市場委員会(FOMC)会合で政策金利を0.5ポイント引き上げることを含め、利上げの前倒しを支持する論拠には評価すべき利点があるとの認識を示した。パウエル議長は「5月会合では0.5ポイントが選択肢に入るだろう」とし、「インフレ率を2%に戻すべく金融政策手段を活用することに、われわれは全力で取り組んでいる」と述べた。金利先物市場は来月の0.5ポイント利上げを完全に織り込んでいる。6月会合での0.5ポイント追加利上げも100%織り込み済みだ。さらに7月に3回目の0.5ポイント引き上げがあるとも予想している。

465億ドル

資産家イーロン・マスク氏は、ツイッター株の公開買い付けを開始する是非を検討している。マスク氏が提示した1株当たり54.20ドルの買収案に、ツイッターはまだ返答していない。買収資金の調達に関しては、約465億ドル(約5兆9700億円)の提供を確約する書簡をマスク氏に「関連する団体」が受け取ったことが、当局届け出で明らかになった。モルガン・スタンレーなど複数の金融機関が約255億ドル相当のデットファイナンスを提供するほか、マスク氏が210億ドル相当のエクイティファイナンスを実施する。関係者によれば、マスク氏とアドバイザーらはこのエクイティファイナンスに協力する可能性のある投資家に関して、今後数日間で精査する見通し。

ADR急伸

塩野義製薬が開発する新型コロナウイルス感染症の経口薬について、米政府が購入を視野に同社と交渉を行っている。事情に詳しい関係者が明らかにした。21日の米株式市場で塩野義の米国預託証券(ADR)は急騰、一時12%高となった。バイデン米政権はコロナ治療薬の備蓄拡充に取り組んでいるが、ファイザーなどとの既存契約に支払う資金を多く必要としているため、塩野義製など新たな治療薬を調達するには資金確保が課題となる可能性がある。

世界最大

運用資産1兆3000億ドル(約167兆円)のノルウェーの政府系ファンド(SWF)は、2020年以来初めて四半期ベースの損失に見舞われた。ロシアのウクライナ侵攻や中国でのロックダウン(都市封鎖)で市場が動揺したことが背景にある。1-3月(第1四半期)に740億ドルの損失を計上。トロン・グランデ副最高経営責任者(CEO)は「第1四半期は地政学的な混乱が特に際立っていた。こうした地政学情勢は市場にも影響を及ぼした」と指摘した。

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