24日に行われたフランス大統領選挙の決選投票で現職のマクロン大統領の再選がほぼ確実となったことで投資家の間に安心感がもたらされそうだ。投資家は極右政党・国民連合(RN)のマリーヌ・ルペン氏の勝利なら欧州市場が混乱すると警戒していた。
マネーマネジャーらによれば、マクロン大統領再選から恩恵を受ける資産はユーロとフランスの債券・仏銀行株。ルペン氏が勝利すれば、欧州資産はユーロ圏危機や欧州連合(EU)離脱を巡る英国民投票と同程度の売り浴びせに見舞われかねないと予測する声もあった。
マクロン仏大統領の再選確実、極右ルペン候補を決選投票で破る (2)
オリンピア・ウェルス・マネジメントのパートナー、ファビオ・カルダト氏は、「欧州の投資家はフランスの出口調査を受けて盛り上がっている。ブラックマンデーの可能性は間違いなく回避された」との考えを示した。
開票作業は続いているが、仏主要調査会社5社は開票途中の段階でマクロン氏の得票率を約58%、ルペン氏42%と予測。ルペン氏はパリで支持者らを前に敗北を認めた。
カルミニャックの戦略投資委員会メンバー、フレデリック・ルルー氏は、「今回の選挙で論理的に最大の恩恵を受けるのはユーロだろう」と述べた。ユーロは25日早朝のシドニー市場でドルに対し一時0.6%上昇した後、上げ幅を約0.1%に縮小した。
マクロン大統領はフランスが一層強力かつ統合されたEUの要になる取り組みを継続すると表明してきただけに、そうした動きから恩恵を受けるBNPパリバやソシエテ・ジェネラルといった仏銀行株はマクロン氏再選を好感した反応が見込まれる。
また、ルペン氏は高速道路の国有化を公約していたため、バンシなど有料道路管理会社も恩恵を受けそうだ。マクロン氏勝利はフランス電力(EDF)やエンジーなど仏国内市場への依存度が大きい企業にもプラス要因だと投資家は指摘する。
仏大統領選第1回投票以来、世論調査でマクロン氏とルペン氏の支持率の差の拡大が示されたことから、フランスの株・債券相場は下支えされていた。左派と右派の政治家がマクロン大統領を支持した上、ルペン氏が20日の討論会で大きな打撃を与えることができなかったことも市場に安心感をもたらした。
バークレイズの欧州株戦略責任者、 エマニュエル・コー氏は、マクロン大統領の再選は市場にとってさほど大きなサプライズではないもものの、それでも安心感をもたらすと述べ、「適度な安堵(あんど)のラリー」の余地が見込まれて、ユーロとCAC40指数、仏銀行株が最も恩恵を受けると予想した。
IGフランスのチーフ市場アナリスト、アレクサンドル・バラデス氏は「マクロン氏勝利でEUレベルでの一つの大きなリスクが取り除かれる」と述べ、市場が中国の新型コロナウイルス感染対策のロックダウン(都市封鎖)や地政学的リスク、インフレ高進などさまざまな難題に直面している中でプラス材料だと指摘。アジア時間に悪材料がなければ、CAC40指数は25日に1%程度上昇する可能性があると付け加えた。
原題:Macron’s Victory to Offer Relief for Euro and Lift French Stocks(抜粋)