イーロン・マスク氏は13日、440億ドル(約5兆7000億円)でのツイッター買収案を巡り、市場に新たな混乱の種をまいた。買収が「一時的に保留」になっているとツイートした後、「依然コミット」していると主張。ツイッター株はこれに振り回される格好となった。
マスク氏はこの日、偽アカウントがユーザーの5%未満だというツイッターの届け出について詳細を待っているとし、買収案を進めるのを保留すると表明。これを受けてツイッター株は、通常取引開始前の時間外で一時25%急落した。その数時間後、同氏は買収になおコミットしているとツイートし、株価は下げ幅を縮小。ニューヨーク時間午前9時45分時点では、前日比11%安で取引されている。
ツイッターは直近の決算報告で「2022年1-3月(第1四半期)は、1日当たりアクティブユーザー数に占めるスパムおよび偽アカウントの割合は平均5%未満」だと説明していた。しかし、この数字はほぼ10年にわたり四半期の届け出で使われ続けていた。同社は直近の推計値を精査したところ、実際の数字はもっと大きい可能性があると明らかにした。
ツイッターのヘビーユーザーに過ぎなかったマスク氏は、ツイッター株式9%余りの保有開示、敵対的買収の開始と、わずか数週間で事態を一気に動かしてきた。買収資金の詳細な調達計画を示さず、ツイッターの財務状況について公になっている以上の情報を調べる時間も取らなかった。
ハーグリーブス・ランズダウンの投資・市場担当シニアアナリスト、スザンナ・ストリーター氏は「偽アカウント問題が買収を遅らせる戦術の背後にある本当の理由なのかどうか、疑問の声が上がるだろう」と指摘。「440億ドルは極めて大きな額だ。この額を撤回する戦略かもしれない」と述べた。
マスク氏は先月ツイッター買収で合意したが、買収実現に懐疑的な見方が過去数日に強まり、1株当たりの買収提示額と実際のツイッター株価の格差(スプレッド)は拡大した。
ブルームバーグ・インテリジェンス(BI)のテクノロジー業界シニアアナリスト、マンディープ・シン氏は今回のマスク氏の意図について「買収額を15-20%引き下げ、ツイッターの競合企業スナップの時価総額に近づけるための交渉を狙っている可能性が高い」と分析した。
原題:Elon Musk Sows Doubt Over His $44 Billion Twitter Takeover (2)(抜粋)、
Musk Tweets He Is ‘Still Committed’ to Twitter Acquisition (1)(抜粋)、
Musk Declares $44 Billion Twitter Takeover ‘On Hold’ (2)(抜粋)