A pedestrian walks along Wall Street near the New York Stock Exchange (NYSE) in New York, U.S., on Tuesday, September 7, 2021. Photographer: Michael Nagle/Bloomberg

アップルやテスラなど大型ハイテク株で構成するナスダック100指数は、予想株価収益率(PER)が長期平均に沿った約20倍に落ち着き、コロナ禍で膨張したフロス(泡)が消えた可能性が指摘されています。インテルやASMLなどで構成するフィラデルフィア半導体指数は、12カ月予想PERが約15倍。2021年に付けた24倍を大きく下回りました。5兆5000億ドル(約703兆円)もの時価総額が吹き飛んだハイテクセクターのメルトダウン。ウォール街では底入れを示唆する声が少しずつ聞かれるようになりましたが、タイミングを誤れば傷口を広げかねないため、語調はまだ慎重です。以下は一日を始めるにあたって押さえておきたい5本のニュース。

取得の意図は

サウジアラビアの政府系ファンド(SWF)、パブリック・インベストメント・ファンド(PIF)は同国の富豪アルワリード王子率いる投資会社キングダム・ホールディングの株式16.9%、15億ドル(約1900億円)相当を取得した。価格は取得が発表される前営業日の終値。アルワリード王子(67)はシティグループやアップルの株式を取得したことで、サウジの著名な投資家となったが、2017年に汚職の嫌疑で身柄を拘束され、高級ホテルで83日間軟禁された後に政府と和解している。

完全に排除はせず

ディーズ米国家経済会議(NEC)委員長は22日、米国がリセッション(景気後退)入りする可能性については明確な否定を避けつつ、米金融当局にはその責務を果たすための余裕が必要だと論じた。ディーズ氏はCNNの番組で、米国の連邦債務を削減することも「経済における物価圧力の低下につながる」と述べた。リセッションの可能性を排除するかとの質問に対しては、「常にリスクはあるが、特に世界的な状況に目を向けると、米国の現状については非常に良い感触を得ている」と述べた。

7月説

欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁は7月にも利上げを実施する可能性があると述べる一方、景気拡大への懸念がある中で0.5ポイント利上げには否定的な見解を示した。同総裁は7-9月初めに資産購入を終了した後で「われわれはその後ある時点で利上げを行い、それは数週間後かもしれない」と語った。0.5ポイント利上げに関しては「現時点で何か言えることではない」と述べ、経済成長をリスクにさらしてはいけないと発言した。

気がかり

バイデン米大統領は天然痘に症状が似た感染症「サル痘」の感染が拡大しつつあることについて、「誰もが心配して当然なことだ」と述べた。バイデン氏は記者団に対し、こうした状況についてアドバイザーらと話をしたと説明。「われわれに何ができるか、もしあるとすれば、どういったワクチンが入手可能か見極めようと懸命に取り組んでいるところだ」とし、「感染が拡大するのであれば、影響が生じるであろうし、そういう点で気がかりだ」と話した。

政権交代

21日投開票のオーストラリア総選挙で、野党・労働党が勝利し、2013年以来となる政権交代が実現する見通しとなった。アルバニージー党首は23日に首相に就任すると説明しており、東京で24日開かれる日米豪印4カ国の枠組み「クアッド」の首脳会合に出席する方向だ。アルバニージー党首は勝利演説で、「キャンパーダウンの公営住宅で育ったシングルマザーの息子が豪州の首相として皆さんの前に今夜立つことができるということが、われわれの国がいかに偉大かをよく物語っている」と述べた。労働党は対中国政策でモリソン政権の路線をほぼ踏襲した方針を取っている。

その他の注目ニュース

【ウクライナ】米大統領が支援法案署名-エルドアン氏NATOに難色

「バイヤーズストライキだ」、弱気相場入り目前にしたウォール街

米経済に入り始めた亀裂-強まるリセッションへの警戒警報