[ブリュッセル 8日 ロイター] – 欧州議会は8日、欧州連合(EU)の炭素市場改革法案を否決し、議会の委員会に差し戻して再策定させることを決めた。EUにとって最大規模の気候変動政策に関して意見の対立を露呈した。炭素市場改革の実施が遅れる可能性がある。
EUの排出権取引制度(ETS)を強化するか弱めるかで意見が分かれ、炭素市場法の最終案に関する交渉について立場を確認する試みは挫折した。
二酸化炭素(CO2)排出量を削減するためのEUの主要政策ツールであるETSは、発電所と企業がCO2を排出した時に排出権を購入することを義務付けている。
緑の党と欧州社会党の議員らは、保守派の修正案が法案を骨抜きにしたとして反対票を投じた。右派グループの議員らも、インフレ圧力が高まる中、法案は野心的過ぎるとして反対に回った。
法案の手直しを担当する環境委員会のパスカル・カンフィン委員長は、6月23日までに新たな合意に達するよう交渉担当者は努力すると述べた。
炭素市場改革に関して議会の主席交渉官を務めるピーター・リーゼ氏は、委員会に対して支持を得られるような法案を再度策定するように求め「本日、反対票を投じた人たちはもう一度考えてみてほしい。どうかETSをつぶさないでほしい」と訴えた。
今回の否決で炭素市場改革法成立のスケジュールが後退する恐れがある。
議会は8日、他の7つの気候変動政策について投票する。地球温暖化対策に取り組むとする欧州の公約は、エネルギー価格高騰とインフレ高進に対する懸念との対立に直面しており、それらの行方も不確実だ。
議員の意見は支持するか、弱めるかで分かれており、何百もの修正案が検討される。