A pedestrian carries shopping bags in San Francisco, California. Photographer: David Paul Morris/Bloomberg

5月の米小売売上高は5カ月ぶりに前月比で減少した。自動車など高額商品の購入が大幅に減少し、高インフレの中で財の需要が鈍化していることを示唆した。

キーポイント
・小売売上高は前月比0.3%減少
・ブルームバーグがまとめたエコノミスト予想の中央値は0.1%増
・前月は0.7%増(速報値0.9%増)に下方修正
米小売売上高(棒グラフ)、ガソリンと自動車ディーラー除く米小売売上高(折れ線グラフ)、いずれも前月比増減出所;ブルームバーグ

  自動車を除く小売売上高は0.5%増加(予想0.7%増)した。自動車の販売は3.5%減少し、ワーズ・オートモーティブ・グループが8月以来の大幅減少だと発表していたデータを裏付けた。ガソリンスタンド売上高は4%増。燃料価格高騰の影響を反映している可能性が高い。自動車とガソリンスタンドを除く小売売上高は0.1%増と、5カ月ぶりの小幅増加にとどまった。

  ここ数カ月は消費者が貯蓄を取り崩し、クレジットカードの使用を増やしたことで消費は維持されてきたが、そのような動きは米国民の財務状況が弱まるにつれ、小売売上高全般の伸びにとってリスクとなり得る。

  5月は13項目のうち電気製品や家具、無店舗小売りなど6項目が減少した。

  食料品店は1.2%増加した。ただ、インフレ調整されていないため、購入活動の増加よりも価格上昇を反映している可能性がある。

  みずほフィナンシャルグループ(FG)の米国エコノミスト、アレックス・ペレ氏は「この統計は財の消費においてインフレ調整後の数字がかなりのマイナスになっていることを示唆しており、足元の国内総生産(GDP)予測は大幅に下方修正される可能性が高い」と指摘した。

  一方、アマースト・ピアポント・セキュリティーズのチーフエコノミスト、スティーブン・スタンリー氏は、小売売上高は月間の動きが激しいとして、個人消費の腰折れという結論を導き出すのは時期尚早だと述べた。

  構成要素の中で唯一サービス業に分類される飲食店は、0.7%増加した。

  GDPの算出に使用される飲食店と自動車ディーラー、建材店、ガソリンスタンドを除いたコア売上高は前月比横ばいだった。

  統計の詳細は表をご覧ください。

原題:US Retail Sales Post First Drop in Five Months on Autos Plunge(抜粋)