[ワシントン 15日 ロイター] – 米連邦準備理事会(FRB)は14─15日に開いた連邦公開市場委員会(FOMC)で、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を75ベーシスポイント(bp)引き上げ、1.50─1.75%とした。インフレ高進に積極的に対応しながらも、今後は景気が減速し失業率が上昇すると予測した。
今回の利上げは5月の50bpの利上げに続くもので、一度に75bpの大幅利上げを決定するのは1994年以来27年ぶり。
新たな金利・経済見通しで示されたFF金利見通し中央値は2022年末が3.4%、23年末が3.8%。3月末時点の見通し(22年末が1.9%、23年末が2.8%)から大幅な上方修正となり、一段と速いペースでの利上げが示唆された。
FRBはFOMC声明で「インフレ率はパンデミックに関連する需給の不均衡、エネルギー価格の上昇、より広範な価格圧力を反映し、引き続き高止まりしている」と指摘。ロシアによるウクライナ侵攻や、新型コロナウイルスの封じ込め策として中国が講じているロックダウン(都市封鎖)の影響に言及した上で、「インフレのリスクを非常に注視している」とした。
パウエルFRB議長はFOMC後の記者会見で、一段と迅速に金利を中立金利に到達させるため、前倒しして実施する必要があるとの見解に至ったとし、「今回の会合で75bp(の利上げ)を決定することが正しいことのように思われた」と述べた。
その上で、次回7月のFOMCでも75bpの利上げ、もしくは50bpでの利上げが決定される公算が大きいとの見方を示した。ただ、75bpが「一般的な」利上げ幅になるとは予想していないと述べた。
<大幅利上げと同時に見通し下方修正>
FRBは大幅利上げに踏み切りながらも、景気見通しを下方修正。今年の経済成長率はトレンドを下回る1.7%に減速するとしたほか、失業率は年末までに3.7%に上昇し、24年にかけて4.1%に上昇すると予想を示した。
米経済が景気後退(リセッション)に陥ると予想した当局者はいなかったものの、23年の成長率予測レンジはゼロに近づいた。
積極的な利上げにもかかわらず、個人消費支出(PCE)価格指数伸び見通し中央値は22年が5.2%。ただ、23年は2.6%、24年は2.2%に減速するとの見方が示された。
オールスプリング・グローバル・インベストメンツのシニア投資ストラテジスト、ブライアン・ジェイコブセン氏は「FRBは失業率上昇と景気後退(リセッション)を代償にしてでもインフレ率を引き下げようとしている」と指摘。金利先物市場では、次回7月FOMCで75bpの利上げが再度決定される確率が約85%であることが織り込まれている。
今回の決定は10対1。カンザスシティー地区連銀のジョージ総裁が50bpの利上げを主張した。