[フランクフルト/ミラノ 15日 ロイター] – 欧州中央銀行(ECB)は15日に臨時会合を開催し、国債利回りの格差拡大によるユーロ圏市場の分断を防ぐ措置を検討すると表明した。最近終了した新型コロナウイルス危機対策のパンデミック緊急購入プログラム(PEPP)で買い入れた債券の償還資金の再投資を柔軟に運用する。

ECBは臨時会合終了後「理事会は、金融政策伝達メカニズムの機能を維持する観点から、PEPPポートフォリオで償還が到来するものの再投資に柔軟性をもたせることを決定した」と表明。「関連するユーロシステム委員会とECBの業務部門に、新たな分断防止策の策定を加速させることを決定した」とした。

ただ、ラガルド総裁はロンドンで開かれたフォーラムで、ECBの責務はインフレ抑制であり財政支援ではないと指摘。ECBに対する期待感の緩和に努めた。

ECBは先週の定例理事会後、歴史的な物価高への対応として量的緩和の終了および7月と9月の利上げ方針を発表した。ラガルド総裁は、域内の金利差拡大の問題に言及したものの具体的な措置は打ち出されず、その後もイタリア国債利回りが上昇、債務危機再発が懸念されていた。

臨時会合の発表について、市場では具体性に欠けると失望感が広がり、ユーロ/ドルは約0.7%下落。イタリア10年債利回りは約7ベーシスポイント(bp)上昇した。

イタリアとドイツの10年債利回り格差は臨時会合の結果発表直後に241bpに拡大。ただその後は231bpに戻し、予想されるECBの対応に信頼感が出ていることが示された。

ECBは次回7月21日の理事会で利上げに着手するとみられている。

<市場は歓迎、最低限との見方も>

市場ではECBが示した方針が歓迎されたものの、詳細が明らかにされなかったことに加え、断固とした確約が示されなかったことへの失望感も出ている。

ピクテ・ウェルス・マネジメントのエコノミストは「これは先週言うべきだった」とした上で、次回理事会までに詳細な具体的措置がまとまるのかが問題とした。

キャピタル・エコノミクスのジャック・アレン・レイノルズ氏は「再投資に関する決定はECBとして現時点で行える最低限のものだった」とし、「7月の次回理事会でこうした手段について合意できる保証はないため、新しい手段が導入される前に利回り格差が一段と拡大する可能性もある」と述べた。

一方、ダンスケ銀行のエコノミスト、ピエト・クリスチャンセン氏は「ECBが示した方針は最低限にすぎないが、現時点で妥協できることの中で最も現実的な結果だった」とし、ECBがスタッフに計画の策定を要請したことで、市場が自然に鎮静化していくか見極める時間を稼ぐこともできるとの見方を示した。

イタリアとドイツのスプレッドは前日、2014年初め以来となる250bp付近まで拡大した。イタリアの大手銀行INTESAのメッシーナ最高経営責任者(CEO)は15日、スプレッドについてコンセンサス的な水準はないものの、イタリアの経済ファンダメンタルズを踏まえると100─150bpが妥当と指摘していた。