米国のバーンズ駐中国大使は4日、ウクライナでの戦争を巡りロシアの「うそ」拡散を控えるよう中国外務省に求めた。米国の駐中国大使が直接的かつ公に非難を展開するのは異例。

  バーンズ大使は清華大学主催の世界平和フォーラムで、ロシアのウクライナ侵攻を巡る危機解決に向けて中国ができることは何かとの質問に対する回答で、うそ拡散停止を中国側に「要求」した。また、ロシアの戦争遂行を手助けしないよう中国にあらためて求めた。

Nicholas Burns, U.S. ambassador to China nominee for U.S. President Joe Biden, listens during a Senate Foreign Relations Committee confirmation hearing in Washington, D.C., U.S., on Wednesday, Oct. 20, 2021. The Biden administration seeks to enlist allies to vie with China on issues ranging from the production of semiconductors to freedom of navigation in the South China Sea to human rights abuses in Xinjiang. Photographer: Sarah Silbiger/Bloomberg

  バーンズ氏は中国外務省の報道官に対し、「今回の戦争を始めたとして北大西洋条約機構(NATO)を非難するのをやめるよう期待する。これはロシアのプロパガンダだ」と説明。「また、ウクライナに米国の生物兵器研究所は存在せず、中国外務省報道官がこれに関するうそをやめることも私は望んでいる」と述べた。

  「これらは全てロシアからもたらされている。残念ながら中国がこれを取り上げている」と同氏は付け加えた。

  中国は今回の戦争を支持しないと表明し、戦闘停止に向けた協議を促しているが、高官や国営メディアはNATO拡大容認でロシアを刺激したとして米国を繰り返し批判。華春瑩、趙立堅両氏ら中国の外交官は公式プラットフォームを使って、米国がウクライナで生物兵器を製造しているとするロシアが支持する陰謀論も展開している。

  一方、米国側はこうした主張を否定し、虚偽情報を拡散しているとして中国をこれまで非難していた。

  中国外務省の趙報道官は北京で4日開いた定例記者会見で、バーンズ大使の批判を退け、ウクライナでの米国の活動に関する追加情報を再び要求するとともに、バーンズ氏に中国人民と対話し、NATOに対する見方に耳を傾けるよう呼び掛けた。「偽情報を広めているのは米当局者であり、中国ではない」とも主張した。

原題:US Ambassador Urges China to Stop Spreading Russian ‘Lies’ (1)(抜粋)