イタリアのドラギ首相は、連立政権の中心的な政党からの支持が得られなくなったことを理由に辞意を表明し、議会選挙が前倒しされる可能性も出ています。ウクライナ情勢を受けて燃料価格の高騰など課題が山積するなか、政治の混乱が長期化することへの懸念が高まっています。
イタリアでは新型コロナウイルスの危機に対応するためとして、去年2月、ほぼすべての政党が参加する連立政権が発足し、ヨーロッパ中央銀行の前の総裁のドラギ首相が政権を率いています。
ところが議会上院で14日に行われた内閣の信任決議の投票では、上院の最大勢力で連立政権の一角をなす「5つ星運動」が、燃料価格の高騰などへの政権の対応を批判して棄権しました。
これを受けてドラギ首相は声明を発表し「政権を支えてきた各政党の結束はもはや存在しない」として、マッタレッラ大統領に辞表を提出しましたが、大統領はこれを受理せず、各政党の間の話し合いで連立政権を維持するよう求めました。
ドラギ首相の対応は明らかになっていませんが、地元メディアは、仮に連立政権が崩壊すれば、来年春に予定されていた議会選挙がことしの秋にも前倒しされる可能性を伝えています。
イタリアはウクライナ情勢を受けて、燃料価格をはじめとした物価の高騰や、輸入量の40%を依存するロシア産の天然ガスからの脱却など多くの課題に直面していて、政治の混乱が長期化することへの懸念が高まっています。