米経済に関する話題はインフレからリセッション(景気後退)に主役が交代したようです。前日のパウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長による記者会見では、「リセッション」という言葉が記者の質問を含めて28回使われています。全米経済研究所(NBER)の正式認定を待たずに言葉が独り歩きし、リセッション家計の節約術、リセッションに負けない就活戦略、といった苦境を乗り切るための情報が世の中に溢れるかもしれません。おさらいになりますが、パウエル議長は「今の米経済がリセッションに入っているとは考えていない。経済には好調すぎる分野が単に多すぎるからだ」と27日に述べました。以下は一日を始めるにあたって押さえておきたい5本のニュース。
2四半期連続マイナス
4-6月の米実質国内総生産(GDP)速報値は前期比年率で0.9%減少。2四半期連続のマイナスとなり、リセッションのリスクが高まった。数十年ぶりの高インフレで消費支出が抑制された上に、利上げで企業の投資や住宅需要に影響が及んだ。経済の最大部分を占める個人消費は1%増と、前四半期に比べて減速し、市場予想(1.2%増)も下回った。BMOキャピタル・マーケッツのシニアエコノミスト、サル・グアティエリ氏は「米経済はかなりリセッションに陥りやすい状態にある」と分析した。バイデン米大統領は声明で、「経済が減速しつつあるのは驚きではない」と述べた。
2時間20分
バイデン米大統領と中国の習近平国家主席が電話会談を行った。バイデン氏は習氏に対し、武力による台湾統一に警告を発した一方、台湾が正式に独立宣言を行うことは支持しないと伝えた。中国外務省の声明によると、習主席は台湾問題に関し「火遊びをする者はやけどを負う」とし、これまでの警告を繰り返した。今回の声明には、過去の両首脳の会談後に盛り込まれていた「建設的」だったとの表現は見当たらなかった。その後にホワイトハウスが出した声明によると、バイデン氏は習氏に対し、台湾に関する米国の方針は変わっていないとし、台湾海峡の現状を一方的に変更する取り組みには「強く反対する」との見解を繰り返した。
アップルとアマゾン
アップルの株価は引け後の時間外取引で一時3%余り上昇。4-6月期決算の売上高はアナリストの予想平均を小幅に上回った。サプライチェーンの目詰まりや不安定な景気動向が影響するとの懸念は後退した。アマゾン・ドット・コムの株価は一時12%高。4-6月の売上高が予想を上回り、7-9月についても好調な売上高予測を示した。インフレで消費が抑制されるとの懸念が和らいだ。
適切な距離とは
安倍晋三元首相の殺害事件は自民党を中心とする政治家と韓国で誕生した宗教団体の密接な関係をあぶり出した。事件の容疑者が殺害動機について、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)への怨恨(えんこん)を示唆したことがきっかけだ。統一家庭連合は性的少数者(LGBT)や夫婦別姓に反対する保守的思想の宗教法人で、理想の実現に向け政治家に接近するのは必然だ。自民党所属の地方議員はブルームバーグの取材に対し、匿名を条件にこう語った。今回の事件を機に距離を置かざるを得ないが、次の選挙も応援してほしいと本音を漏らす。
略奪合併
米格安航空会社ジェットブルー・エアウェイズは、同業スピリット航空を少なくとも38億ドル(約5150億円)の現金で買収する。スピリットは前日にフロンティア・グループ・ホールディングスとの合併計画を打ち切ったばかりだった。28日の発表資料によれば、ジェットブルーはスピリット株1株に対し33.50ドル、もしくは手続きのタイミングにより最大で34.15ドルの現金を支払う。スピリットの取締役会はジェットブルーへの身売りに合意しており、スピリットの株主が承認した場合、1株当たり2.5ドルが前払いされるという。
その他の注目ニュース
米半導体法案が下院通過、バイデン大統領の署名待ち-520億ドル規模