[ワシントン 29日 ロイター] – 日米両政府は29日、外務・経済担当閣僚会合(経済版2プラス2)を開いた。ロシアのウクライナ侵攻に伴う混乱や中国に対抗することが狙いで、萩生田光一経産相は日米が次世代半導体の共同研究センターを新設することで合意したと発表した。
米国側からはブリンケン国務長官とレモンド商務長官が、日本側からは林芳正外相と萩生田経産相が参加した。エネルギーや食料安全保障についても議論したという。
ブリンケン氏は冒頭で「世界第1位と第3位の経済大国として、全ての国が参加し、競争し、繁栄できるようなルールに基づいた経済秩序を守るために協力することが重要だ」と指摘。新型コロナウイルスやウクライナでの戦争のような最近の出来事は重要なサプライチェーン(供給網)の脆弱性を示しているほか、「中国の威圧的かつ報復的な経済慣行は各国に選択を迫り、各国の安全保障、知的財産、経済的独立を脅かしている」と述べた。
林外相は、ロシアのウクライナ侵攻は国際秩序に対する深刻な挑戦だと言及。具体的な国名は挙げなかったものの、中国を念頭に「不公平かつ不透明な形で経済的影響力を行使し、戦略的利益を実現し、既存の国際秩序を変更しようとする」試みが見られるとした。
共同声明では、ロシアのウクライナ侵攻について「残酷で、いわれのない、不当な侵略」と強く非難した上で、こうした侵略が「世界中のエネルギーと食料の安全保障を損なった」との認識を共有。また「エネルギー不安による困難に直面する中で、気候危機に対処する必要性を確認した」という。
<半導体>
萩生田経産相は、次世代半導体の研究について「日本は迅速に行動を起こす」と強調。重要な部品の安全な供給元を確立するために「新しい研究開発組織」を立ち上げることで日米が合意したと述べた。
この研究拠点は「志を同じくする」他国にも開かれたものになるという。
日米は詳細について現時点で明らかにしなかったが、日本経済新聞はこれに先立ち、日本が米国との窓口になる研究開発拠点を年内に新設し、試験的な製造ラインを設置するほか、2025年にも国内に量産態勢を整備できるよう目指すと報じた。
レモンド商務長官は「半導体は経済と国家安全保障の要だ」とし、特に「最先端の半導体に関する」協力について協議したと明かした。
日米は共同声明で「戦略的部門、特に半導体、電池、重要鉱物におけるサプライチェーンの強靱性を促進する」ために協力すると表明。「志を同じくする国々の間の連携を主導するために、両国が強力なバッテリーサプライチェーンを構築する」とした。