- 中国反発、台湾周辺で「長距離実射」を含む軍事演習実施と表明
- 中国は台湾への天然砂輸出停止-台湾国防部は中国軍の演習非難
アジア歴訪中のペロシ米下院議長は2日夜、台湾に到着した。副大統領に次いで大統領継承順位2位の現職の下院議長による訪問は、1997年のギングリッチ氏以来25年ぶり。議長訪台の場合、軍事行動も辞さないと警告していた中国は反発、台湾周辺でミサイル試射を含む軍事演習を実施すると発表した。
台北松山空港に到着したペロシ氏は台湾の呉釗燮外交部長(外相)らに迎えられた。台湾外交部(外務省)によると、ペロシ氏は現地時間3日午前10時53分(日本時間同11時53分)に蔡英文総統と共同記者会見を開く予定。
ペロシ氏は台湾到着後に発表した声明で、今回の訪台は「長期にわたって維持している米国の方針と決して矛盾しておらず」、米国としては「今後も一方的な現状変更の試みに反対していく」と表明。「われわれ議員団の訪台は台湾の活力ある民主主義を支える米国の揺るぎなき関与を示す」と指摘した。
中国はペロシ氏の訪台を非難し、台湾周辺で「長距離実射」を含む一連の軍事演習を実施すると表明。2日夜にも開始し、4日以降もさらなる演習を行うとした。中国国営中央テレビ(CCTV)は3日早く、中国が海軍と空軍の合同演習を台湾周辺で開始したと伝えた。
ペロシ氏の台湾訪問を巡る主な動きは次の通り。
かんきつ類輸入なども停止
中国税関総署は台湾からのかんきつ類やタチウオ、冷凍アジの輸入を3日から停止することを明らかにした。昨年以降、こうした輸入品に害虫や残留した殺虫剤、新型コロナウイルスを検出したことを受け、リスク防止が目的だと説明した。
「一つの中国」の原則に違反-人民日報社説
中国共産党機関紙・人民日報は社説でペロシ氏の訪台について、米国の真の目的が中国の発展の阻害と抑制だということを如実に示したと指摘。「一つの中国」という原則に反しており、米中関係の政治的基盤に深刻な打撃を与えていると主張した。
中国、台湾への天然砂輸出を停止
中国商務省は3日、台湾への天然砂輸出の停止を決定し、同日から実施すると発表した。関連法規に基づく措置だと明らかにしたが、具体的な説明は控えた。
中国、台湾企業100社余りからの食品輸入を禁止
中国は台湾企業100社余りからの食品輸入を禁止した。台湾の聯合報によると、中国税関総署はこうした禁止措置を1日に実施。魚介類や茶、蜂蜜などが禁止措置の対象になったという。台湾の蘋果日報は、輸入書類に関する古い情報が問題視され、台湾の食品薬物管理署が情報の収集に努めていると伝えた。
中国の軍事演習の計画非難-台湾
台湾国防部(国防省)は3日の声明で、中国が4-7日に計画している軍事演習について、地域の平和と安定を損なうと非難した。2日の声明では、「脅威に応じて相応の部隊」を派遣する用意があり、「安全保障の確保を決意し、それについての自信と能力がある」としていた。
北朝鮮がペロシ氏訪台を非難
北朝鮮外務省はペロシ氏の訪台について、中国内政への「無分別な介入」だと非難した。北朝鮮国営の朝鮮中央通信(KCNA)が伝えた。それによると、同省報道官は「国家主権と領土の一体性を断固守るとした中国政府の立場を完全に支持する」とした上で、こうした介入に「主権国家が対抗措置を取るのは正当な権利だ」と語った。
米国の駐中国大使に抗議
中国外務省はペロシ氏の台湾到着後、声明で「中国は国家主権と領土の一体性を断固守るために必要なあらゆる措置を講じる」と表明した。国営メディアによれば、同省は米国のバーンズ駐中国大使を呼んで抗議した。中国の習近平国家主席は先週の首脳会談でバイデン米大統領に対し、「中国の国家主権と領土の一体性を断固として守る」とし、「火遊びをする者はやけどを負う」と述べていた。
台湾総統と昼食へ
台湾メディアによると、ペロシ氏は3日午前に立法院(議会)を訪問。蔡総統と昼食を共にし、民主活動家とも会う予定。また、米紙ワシントン・ポストは、ペロシ氏が台湾積体電路製造(TSMC)の会長と会談する予定だと報じた。
ペロシ米下院議長、2日夜に台湾に到着
原題:Pelosi to Meet Taiwan Chief as China Opens Military Drills (1)、
North Korea Criticizes Pelosi’s Taiwan Visit as ‘Interference’、
China Says Pelosi’s Taiwan Visit Shows US Seeks to Curb Beijing、
Taiwan’s Defense Ministry Condemns China’s Planned Drills(抜粋)