- インフレ時代到来、サウジが固めたOPECプラスの決意
- タカ派賭けのポジション急増、ファウチ氏退任、利上げ軌道の行方
ニューヨークのグランドセントラル駅には時代の重みを感じさせる4面時計や、青い天井に描かれた天体図など、写真で撮ってソーシャルネットワークで共有したくなる見どころが多数あります。もう一つのターミナル駅、ペンシルベニア駅に立ち寄るときは、できるだけ早くそこを去ろうと自然と早足になります。60億ドル(約8200億円)を投じて、この駅を美しくよみがえらせる壮大なプロジェクトが動き出しました。すでに構内の一部で工事が始まっており、通勤客らは回り道による混雑や騒音に耐えています。以下は一日を始めるにあたって押さえておきたい5本のニュース。
別の世界
世界各国・地域の中央銀行がインフレとの闘いで長期的な勝利を収めると見込む市場は誤っていると、パシフィック・インベストメント・マネジメント(PIMCO)やキャピタル・グループなど世界最大級の債券ファンドが指摘。投資家やストラテジストは、インフレ率がピークから鈍化するとしても、以前のような物価の安定が戻る可能性は小さいとみている。PIMCOの北米エコノミスト、ティファニー・ウィルディング氏は極めて不安定なインフレの時代を想定。「数年にわたる価格水準調整を招く全般的な仕入れコスト上昇」につながる変化に世界が適応する中で、「過去20年の『グレートモデレーション』は完全に過ぎ去った」と話す。
OPECプラスの決意
サウジアラビアのアブドルアジズ・エネルギー相は、先物市場の「極端な」ボラティリティー(変動性)と流動性の欠如が原油価格をファンダメンタルズから一段と逸脱させつつあり、石油輸出国機構(OPEC)と非OPEC主要産油国で構成する「OPECプラス」に行動を強いる可能性があると語った。ブルームバーグニュースからの質問書に、「最近の有害なボラティリティーが市場の基本的な機能を妨げ、石油市場の安定を損なわせているのを目にしている。これはわれわれの決意を強めるだけだろう」と述べた。
タカに賭け
ヘッジファンドは米金融当局がタカ派的な姿勢を維持するとの見方を記録的なペースで強めており、ロンドン銀行間取引金利(LIBOR)の後継金利、担保付翌日物調達金利(SOFR)を参照する先物全般を大幅なネットショート(売り越し)としている。このポジションは、パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長が今週のジャクソンホール会合(カンザスシティー連銀主催の年次シンポジウム)でハト派転換の可能性を事実上、排除する場合に利益となる。広範な先物市場は引き続き来年末までの利下げを織り込んでいるものの、ヘッジファンドが積み上げたこのショートポジションの規模は過去1カ月に3倍余りに拡大した。
エイズからコロナまで
米国立アレルギー感染症研究所(NIAID)のアンソニー・ファウチ所長が2022年末で退任する。同氏は米国の新型コロナウイルス対策で名声を博した。バイデン大統領の首席医療顧問を現在務めるファウチ氏(81)は、7人の大統領に仕えてきたキャリアを終える。NIAIDが声明で、ファウチ氏は「キャリアにおける次のチャプターを模索するため、今年12月にこの職務から去ることにした」とコメントした。ファウチ氏は1984年からNIAID所長を務めている。
9月が最後
今回の米金融引き締め局面で、大幅利上げは9月が最後になる可能性が高く、今年後半に米国株の上昇が続く舞台が整うと米銀JPモルガン・チェースはみている。ミスラブ・マテイカ氏らストラテジストはリポートで、「9月に連邦準備制度がまた大幅利上げを行うと予想しているが、再びタカ派姿勢で市場を驚かせることはないと見込んでいる」と説明。経済成長と金融政策の間のトレードオフが今後改善され、「市場全体が回復を続けるのに寄与する」と指摘した。金利に敏感な成長株がバリュー株を上回る成績を維持すると想定しているという。
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