[ワシントン 24日 ロイター] – バイデン米大統領は24日、学生ローンを抱える数百万人の借り手に対し1人当たり1万ドルの返済を免除すると述べた。2020年の大統領選挙で掲げた公約を順守する。

ホワイトハウスでの演説で「(学生ローン返済免除を)最も必要としている家庭、つまりパンデミック(世界的大流行)下で特に大きな打撃を受けた労働者や中流階級の人々のため」の措置だと指摘。高所得世帯は対象外とし、同措置に批判的な見方を一蹴した。

バイデン政権は、新型コロナウイルスのパンデミックを受けた学生ローンの返済猶予措置を年末まで延長するほか、年収12万5000ドル以下、夫婦の場合は合計25万ドル以下の世帯に対し1万ドルの学生ローンの返済を免除する。

低所得者層の約600万人の学生が該当する、ペル・グラントと呼ばれる連邦補助金の受給者に対しては最大2万ドルの免除を行う見込み。また、収入の一部を返済計画から守り、10年間の返済後にローン残高の一部を免除する新たな規則も提案するという。

バイデン政権高官は記者団に対し、学生ローン返済免除措置は最大で4300万人に恩恵をもたらし、約2000万人は債務が全額免除になるとした。

これを受け、米上院共和党トップのマコネル院内総務は、学生ローン返済免除は「犠牲を払って大学資金を貯めた全ての家庭、負債を返済した全ての卒業生、そして負債を背負わないために特定のキャリアパスを選んだり、軍隊に志願したりした全ての米国人に対する平手打ちだ」と非難。共和党のエリス・ステファニック下院議員は「無謀で違法だ」と指摘した。

米国民が抱える学生ローンは1兆7500億ドルで、そのほとんどを連邦政府が賄っている。米国では大学の授業料が他の先進国を大幅に上回っており、学生ローンの膨張につながっている。