[東京 26日 ロイター] – 経済産業省主催で「アジアグリーン成長パートナーシップ閣僚会合(AGGPM)」の第2回会合が開かれ、アジア各国のカーボンニュートラル実現に向けた移行(トランジション)を資金面で支援する際のガイドラインを世界の主要金融機関が参加するグループが取りまとめた。ガイドラインを示すことで、様々な技術を使いながらカーボンニュートラルを目指すアジアでの取り組みを進めることが狙い。

トランジション・ファイナンスは、日本が世界に広げようとする考え方。欧州連合(EU)などが採択した「タクソノミー」では、一律の基準に合う取り組みが求められ、途上国などでファイナンスが付かない可能性があるため、地域の実情を踏まえて、段階的な移行の取り組みにもファイナンスが付くようにしようというもの。アジアでは、地理上の制約などから再生可能エネルギーに頼ることができず、カーボンニュートラルに向けては、水素やアンモニアを使うゼロエミッション火力など、様々な技術の活用が不可欠な状況にある。

トランジション・ファイナンスは環境だけではなく、供給の安定性、コストの適切性、産業や雇用等への影響などを勘案するべきだとし、各国がその国に合った形のロードマップを策定することが重要になってくる。あるプロジェクトが公表されているロードマップに整合的か、使用される技術が妥当かどうかがトランジション・ファイナンスを付けるかどうかの判断基準となる。

また、金融機関では移行の技術に対する評価が難しいため、今回、東アジア・アセアン経済研究センター(ERIA)が低炭素アンモニア混焼や石炭・ガス火力発電所におけるCCUS(二酸化炭素の回収・貯留)など10の技術リストを公開。排出レベルに加え、供給への配慮やコストの適切性など6つの評価指標が示された。技術リストは、進展とともに、今後も拡充・見直していく。

ガイドライン作りは、三菱UFJフィナンシャル・グループがリードし21年9月に設立された「アジア・トランジション・ファイナンス・スタディ・グループ」が検討を続けてきた。グループには、日本の3メガ銀行のほか、バークレイズやUBS、メイバンクなど世界の主要な金融機関が参加している。ガイドラインに拘束力はなく、各金融機関が参考にしながら、ファイナンスを検討することになる。

日本は21年5月に「アジア・エネルギー・トランジション・イニシアティブ(AETI)」を発表。その国にあったエネルギートランジションのロードマップ策定支援やアジア版トランジションファイナンスの考え方の提示・普及などを行うとしていた。

きょうの会合には、アジアや中東からエネルギーを担当する閣僚が参加。現在、原油の供給元である中東は、再エネ適地を多く有しており、今後需要が高まる水素やアンモニアの供給元として必要不可欠な地域となるとみられており、アジアと中東が同じ会合に出席することにも意義があると経産省では見ている。