ウクライナ侵略を続けるロシアの国内で、反転攻勢を強めるウクライナに対し、核兵器の使用を含めた反撃を求める声が強まっている。ウクライナが2日に東部ドネツク州の要衝リマンの奪還を宣言したことを受け、戦況で劣勢が目立つロシア側はいっそう厳しい状況に追い込まれることになり、今後の対応が注目される。
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露国防省はウクライナ側のリマン奪還宣言に先立つ1日、露軍のリマンからの撤退を発表し、ウクライナ軍に奪還を許したことを既に認めていた。
こうした状況を踏まえ、露南部チェチェン共和国のラムザン・カディロフ首長は1日、ロシアが一方的に併合を宣言した東・南部4州の防衛に関し、「思い切った手段が必要だ」と指摘した上で、「国境付近一帯への戒厳令発令や低出力の核兵器の使用」を提案した。
プーチン露大統領は9月30日、4州の併合を宣言した演説で、「我々は自分たちの領土と国民をあらゆる手段で守る」と強調した。カディロフ氏の提案は、プーチン氏が演説どおりに行動するよう求めたものだ。
カディロフ氏が言及した「低出力の核兵器」とは、戦術核兵器と呼ばれるものとみられる。ロシアは約2000発を保有していると推定され、爆発威力はTNT火薬換算で5~数十キロ・トンになる。
ロシアは核兵器の使用基準に「国家存続を脅かす通常兵器による攻撃を受けた場合」を含めている。このため、4州の一つのドネツク州でのウクライナ軍の攻撃が、この基準に該当すると解釈する可能性もある。
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カディロフ氏は、リマンを奪還されたことについて、露軍指導部も批判している。制服組トップの露軍参謀総長にリマンが奪還される恐れを指摘したが、聞き入れられなかったという。露軍元高官の下院議員も1日のテレビ番組で、リマンでの部隊増強が不十分だったことを指摘し、露軍内の意思疎通に問題があったと批判した。