• ロシアはエネルギー施設と民間人を標的-ゼレンスキー大統領
  • 戦争の「性質」変えると仏大統領、G7首脳は11日に協議へ
Emergency service personnel attend to the site of a blast on October 10, 2022 in Kyiv. Photographer: Ed Ram/Getty Images

ロシアは10日朝、ウクライナのキーウやオデーサ、ドニプロ、リビウなど数都市をミサイル攻撃した。プーチン大統領はクリミア半島とロシア本土を結ぶ橋が受けた攻撃への報復だとし、ウクライナのインフラにさらに攻撃を加える可能性を示唆した。

  バイデン大統領はロシアを非難し、「必要な限りウクライナの人々を支持するというわれわれのコミットメントを強めるだけだ」と言明。欧州各国の首脳は攻撃が「戦争犯罪」に相当すると語った。

  このミサイル攻撃では8つの地方のインフラ施設などが損傷、戦争開始当初以降で最も激しいものとなった様子だ。ウクライナのゼレンスキー大統領はエネルギーインフラと民間人が標的になったとし、被害の最大化を狙って朝の通勤時間帯に行われたと指摘した。

  クリミアの橋に関して、ウクライナ側は爆発を引き起こしたのは自らの部隊だとは公式に認めてはいない。この爆発は8カ月目に入った侵攻でロシア軍の苦戦ぶりをまた浮き彫りにした。

  ウクライナ情勢を巡る最近の主な動きは以下の通り。

バイデン米大統領が非難、ロシアのミサイル攻撃は「完全な残虐性」

  バイデン米大統領はウクライナの民間施設を標的としたロシアのミサイル攻撃を「完全な残虐性」を示しているとして非難した。

  バイデン氏は10日の声明で、攻撃への米国の対応を具体的に示さなかったが、新たな対ロシア制裁やウクライナへの武器供給を示唆。米国と同盟国はロシアに「コストを負わせ続ける」とし、「ウクライナが国土と自由を守るため同国軍に必要な支援を提供する」と述べた。

インド、緊張緩和を呼び掛け

  インドは「インフラへの攻撃や民間人の死亡を含め」、戦争のエスカレートを「深く懸念」していると外務省が声明で発表。「敵対行為の即時停止と外交と対話の路線に緊急に回帰するよう促す」とした。

ロシアの攻撃、戦争の「性質」変える-マクロン仏大統領

  フランスのマクロン大統領は、ウクライナのインフラに対するロシアの攻撃は戦争の「性質を深刻に変える」と、フランス西部を訪問中に指摘。パリに戻って軍事・外交担当の顧問を招集し、「状況を検証」すると語った。

プーチン氏、ウクライナのインフラに一段の攻撃を示唆

  プーチン大統領は、10日に実施したようなウクライナへのインフラ攻撃を繰り返す用意があると表明。「われわれの領土に対するテロ行為の試みが続くのであれば、ロシアは苛烈な対応をとり、その規模はロシアに対する脅威と同様のレベルになる」と安全保障会議に対して述べ、「誰もこれに疑いを持つべきではない」と続けた。この発言はテレビ放映された。

UAE大統領、プーチン氏と11日にロシアで会談

  アラブ首長国連邦(UAE)のムハンマド大統領は11日にロシアを訪問し、プーチン大統領と会談する。両国が発表した。UAEの国営首長国通信(WAM)によると、両首脳は共通の利益が絡む地域や国際的な問題を話し合う。

ベラルーシとロシア、合同部隊の展開で合意

  ベラルーシのルカシェンコ大統領は、同国とロシアの地域的な部隊を創設し、展開することで合意した。国営ベルタ通信が報じた。部隊の中核はベラルーシ軍になるとルカシェンコ氏は述べ、部隊の編成が2日間にわたり続いていると付け加えたという。この合同部隊がどこに展開するのか、ウクライナでの戦闘に加わるのかは明らかにしなかった。

ゼレンスキー大統領とG7首脳、11日に協議へ

  主要7カ国(G7)首脳は11日午後にロシアのミサイル攻撃について緊急ビデオ会議を開催すると、事情に詳しい関係者が明らかにした。会議にはウクライナのゼレンスキー大統領も加わるという。首脳らは対応策を巡り緊密に連携すると、この関係者は述べた。

  ゼレンスキー氏は10日午前、G7議長国を務めるドイツのショルツ首相と電話で協議。フランスのマクロン大統領とも協議し、ウクライナへの対空防衛システム供給や、ミサイル攻撃に対して「厳しい」国際的な対応をとる必要性を呼び掛けた。

ウクライナは輪番停電も、ゼレンスキー氏側近

  ロシアは空軍と「膨大な」量のミサイルを使ってウクライナのエネルギーインフラを標的にしたと、ゼレンスキー大統領側近のキリロ・ティモシェンコ氏がソーシャルメディアのテレグラムで指摘した。「エネルギー供給の安定に影響が出る可能性がある。輪番停電など、各自がこれに備える必要がある」と説明した。

  ウクライナ緊急対応当局の広報担当者がテレビで語ったところによると、国内8地方のインフラ施設がミサイル攻撃を受け、8人が死亡、38人が負傷した。

ロシアはエネルギー施設と民間人を標的-ゼレンスキー大統領

  ウクライナのゼレンスキー大統領は、「われわれはテロリストに対処しなければならない」と10日のビデオ演説で呼び掛けた。攻撃は「国全体のエネルギー施設」を狙っており、「第2の標的は民間人だ」と指摘。攻撃が朝のラッシュ時間帯だったことに触れ、「被害を最大化させるため意図的にこの時間が選ばれた」と述べ、一時的な停電の可能性もあると付け加えた。

  ウクライナ軍のザルジニー総司令官は、ロシアが発射したのは75発で、そのうちの45発を迎撃したと説明。ポドリャク大統領府長官顧問はウクライナへの対空防衛システム供給を各国に求めた。

ミサイル攻撃で戦争はエスカレートの局面、元ロシア政府高官

  キーウなどへの広範なミサイル攻撃は戦争が新たな局面に入ったことを意味しており、いっそう深刻化するだろうと、元ロシア大統領府高官のアレクセイ・チェスナコフ氏が予測した。「エスカレートの局面に入った」とテキストメッセージで述べ、10日のミサイル攻撃はクリミアの橋が損傷したことへの直接的な報復だと指摘。優勢を回復するためにロシアには「一段と苛烈な」選択肢があると語った。

ゼレンスキー大統領、民間人攻撃続けるロシアを非難

  ウクライナのゼレンスキー大統領はビデオ演説で、ザポリージャ居住地区へのロシアによるミサイル攻撃で3日以降、少なくとも43人の民間人が殺され、数百の家族が家を失ったと明らかにし、「民間人に対するテロが続いており、ロシアは本当の交渉に入ることを明白に拒否している」と語った。

プーチン氏、ウクライナ情報機関による「テロ行為」と断定-クリミア橋爆発

  ロシアのプーチン大統領は9日、クリミア橋の爆発を巡り「ウクライナのシークレットサービス」を非難し、「テロ行為」だと明言した。連邦捜査委員会のバストルイキン委員長がロシア人および外国人が爆発の準備でウクライナを支援したとプーチン氏に伝えたと、ロシア大統領府がウェブサイトで明らかにした。

原題:Ukraine Latest: Putin Threatens as Biden Condemns Latest StrikesUkraine Latest: Russian Missiles Hit Cities, Energy FacilitiesUkraine Latest: Putin Calls Security Meeting, Comments on BridgeUkraine Latest: Russian Strikes Kill at Least 17 in ZaporizhzhiaUkraine Latest: Russia Names New General; Blast Hits Crimea Span(抜粋)