- 24年ぶりに実施した9月の2.8兆円超える-21日と24日に介入の臆測
- 「思ったより少ない」、回数絞りまとまった額投入-ニッセイ基礎研
財務省は31日、10月分(9月29日-10月27日)の為替介入額が6兆3499億円だったと発表した。月次ベースの円買い介入としては、24年ぶりに実施した9月の2兆8382億円を超えて過去最大。円安の流れに歯止めがかからない中、通貨当局は過度な変動を容認せず再度の介入も辞さない構えを示していた。
日銀が発表した当座預金増減要因などに基づく市場推計では、21日の介入規模は約5.5兆円と過去最大規模に達したとみられている。24日も約1兆円の介入があったとの臆測が出ている。政府は10月に入ってから介入の有無を公表していなかった。
21日の円買い介入は5.5兆円規模か、日銀当座預金見通しが示唆
21日の外国為替市場で円は対ドルで1ドル=152円に迫り約32年ぶり安値を更新した後、146円台前半まで急反発する場面があった。週明け24日も4円を超える値幅で円が乱高下した。
神田真人財務官は20日、「われわれは必要な行動を取れる態勢が常にできている」とし、為替介入の原資は「無限にあると思っている」と強調していた。
ドル円が乱高下、一時152円接近も146円台まで反転-当局介入と報道
ニッセイ基礎研究所の上野剛志上席エコノミストは「思ったより少ないというのが正直な感想」とし、21日と24日以外は介入をほとんどしてないとの見方を示した。その上で、「頻繁な介入スタンスではなく、回数を絞ってピンポイントで効果が大きそうなタイミングを見計らってまとまった額を投入している」としている。
上野氏は発表前、10月分の介入実績で「意外感なく受け止められる数字は7.5兆円程度」と予想。内訳は介入額は21日に5.5兆円、24日に1兆円弱、13日や18日などで計1兆円程度としていた。
伊藤忠総研の武田淳チーフエコノミストは21日と24日のほか、さらに小規模の介入を加えた約6兆円という市場予想とほぼ一致するとしている。
日次(にちじ)ベースの介入額は7-9月分が11月8日、10-12月分は来年2月に発表される見通し。9月は介入実施を公表した22日に2兆8382億円の円買いを行ったとみられ、1日当たりの円買い介入額としては1998年4月10日の2兆6201億円を上回り、過去最大となった。
為替介入の原資となる日本の外貨準備高は9月末時点で1兆2381億ドル(約179.6兆円)と、前月末から540億ドル減少していた。円買い介入や金利上昇に伴う証券の時価評価額減少で、減少幅は過去最大だった。
伊藤忠総研の武田氏は、預金は10数兆円残っているはずだとし、9月と10月にかけて行われた「3兆円から5兆円くらいの介入であれば、3回から5回はできる」との見方を示した。