最近気になっていることが3つある。一つはヒジャブーを巡って持ち上がったイランの「反政府デモ」、二つ目が習近平打倒を叫ぶ中国の「白紙革命」、もう一つはイーロン・マスク氏が大金を投じて買収したツイッターが隠蔽してきた「Twitter File」の公開。この三つに共通するのはいずれも現在進行中であること、中国、イラン、米国という三つの国で隠蔽されてきた“闇”に関連していること。もう一つ挙げるとすればいずれも時の権力と微妙に関連していることだ。そして何よりも気になるのは、世界中の主流メディアがこの3つの件について、突っ込んだ報道を避けているように見えることだ。日本の主流メディアはいつものように米国追従。「Twitter File」に至っては、米国のテレビも新聞も明らかに無視している。主流メディアが反応しない分、SNS上では“炎上”するほどの勢いで話題となっている。事実関係はよくわからない。とにかく気になる。

イランの「反政府デモ」は、イスラム圏特有のヒジャブーを巡って、風紀警察に拘束された女性が死亡した事件が契機になっている。人権を無視するような強権的な風紀警察の指導に、イラン国民の鬱積した不満が爆発。最高指導者であるハメネイ氏の退陣をはじめ、政権打倒を叫ぶ反政府デモが全国に拡散している。「白紙革命」は習近平政権のゼロコロナ政策対する不満の爆発と言われている。デモに参加した人たちが白紙の紙を掲げながら「中国共産党打倒」、「習近平退陣」を叫ぶなど中国では異例の反権力運動の色彩を帯びている。きっかけはウイグル自治区の高層マンションの最上階近くで起こった火事。折からのロックダウンで多くの犠牲者が出たことに対する抗議として始まった。ゼロコロナを一枚看板に掲げる中国。表面的には非人道的なコロナ規制の緩和を求めるデモと報道されている。

このデモは瞬く間に中国全土に拡散した。なぜ白い紙を掲げた「白紙革命」なのか。本音を言った途端に権力から弾圧される中国。何も書かないことが権力者への強い抵抗を逆に雄弁に物語ることになる。論者の中には「政権内部に協力者がいる」と見る人もいる。3期目に突入した習氏は、共青団出身の胡錦濤氏を公の場で排斥した。ここからの連想だろう、協力者=共青団をイメージする人もいるようだ。「Twitter File」は買収される前のTwitter社と米民主党政権の爛れた関係を明らかにしそうな証拠ファイルだ。このファイルが事実だとすれば、公平・中立であるべきTwitter社はあからさまに民主党に味方したことになる。それ以上に自ら米国の分断に加担したと言われても仕方ない。「言論の自由」を標榜するマスク氏は、莫大な資金を投じてこうした事態を暴露したかったのかもしれない。この先、この問題がどう進展するのか。現時点ではまったくわからない。