【北京時事】中国政府は14日、昨年12月8日から今月12日までの医療機関における新型コロナウイルス関連死は5万9938人だったと発表した。当局はこれまで関連死を極端に狭く定義し、死者数は連日「ゼロ」や1桁にとどまり、実態と懸け離れていると批判されてきた。今回公表した数字には基礎疾患を持つ感染者の死亡例を含めており、多くの死者が出ていることを初めて公式に認めた。
中国、9億人感染か 人口6割、「昨年中にピーク」―北京大推計
発表によると、死者のうち基礎疾患との合併症による死亡は5万4000人超。死者の平均年齢は80.3歳だった。発熱外来の診察件数がピークに達したのは昨年12月23日で、その後は減少傾向にあるとしている。時事通信の集計によると、2020年2月以降の日本の新型コロナ感染による死者数は累計6万2000人超。中国は約1カ月で日本と同水準の死者数に達した形だ。
中国では昨年12月、ウイルスの徹底封じ込めを図る「ゼロコロナ」政策を一転させ、全国で爆発的な感染拡大が起こった。規制緩和に伴い、新型コロナの感染症分類は引き下げられ、中国疾病予防コントロールセンターは今月9日を最後に毎日行ってきた感染状況の公表を停止。最後の発表では、過去3年間の累計死者数は5272人だった。
新たな変異株の出現などを懸念する世界保健機関(WHO)や米国などは、繰り返し正確な情報開示を求めてきた。中国からの渡航者に対する水際対策を強化する国も相次ぎ、正常化を急ぎたい中国政府は、より実態に近いデータの公表に踏み切ったとみられる。