[東京 18日 ロイター] – 日銀は17―18日に開いた金融政策決定会合で金融政策の現状維持を全員一致で決めた。マイナス金利、10年物国債金利の誘導目標ゼロ%をいずれも維持し、10年物国債金利0.5%での指し値オペを「明らかに応札が見込まれない場合を除き、毎営業日実施する」と改めて表明、長期金利変動幅の上限を据え置いた。一方、金融調節の円滑化を図るため、共通担保オペを拡充した。

日銀は昨年12月の決定会合で長期金利の変動幅をプラスマイナス0.5%に拡大。拡大決定後もイールドカーブのゆがみが修正されず、10年金利は18日まで4営業日連続で0.5%を超えた。市場では変動幅の再拡大など政策修正への思惑が高まっていたが、日銀は金融政策を維持した。

短期金利は、引き続き日銀当座預金のうち政策金利残高にマイナス0.1%の金利を適用。長期金利は、10年物国債金利がゼロ%程度で推移するよう、上限を設けず必要な金額の長期国債の買い入れを行う。

長期金利の変動幅はプラスマイナス0.5%程度で維持。金融市場調節方針と整合的なイールドカーブ形成を促すため、大規模な国債買い入れを続け、各年限で機動的に買い入れ額の増額や指し値オペを実施する。

日銀は、金融政策の先行き指針も維持した。当面は新型コロナ感染症の影響を注視し、企業等の資金繰り支援と金融市場の安定維持に努めるとともに、必要があれば躊躇(ちゅうちょ)なく追加緩和を講じるとした。政策金利は、現在の長短金利の水準またはそれを下回る水準で推移すると想定していると改めて声明に盛り込んだ。

日銀は2%の物価安定目標の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで長短金利操作付き量的・質的金融緩和を継続する。マネタリーベースについては、消費者物価指数(除く生鮮食品、コアCPI)の前年比上昇率の実績値が安定的に2%を超えるまで拡大方針を継続するとした。

<共通担保オペを拡充>

日銀は併せて、共通担保オペの拡充を決めた。貸付期間は金利入札方式、固定金利方式ともに、金融市場の情勢などを勘案して貸し付けのつど決定する10年以内の期間に一本化。固定金利入札方式の貸付利率は、年限ごとの国債市場の実勢を踏まえ「金融市場調節方針と整合的なイールドカーブの形成を促す観点から、貸し付けのつど決定する利率」とした。2年ゾーンを中心に金利の低下を促すため、今年に入り日銀は2年物の共通担保オペを頻繁に実施している。

このほか、貸出増加支援オペの貸付実行期限を1年延長したほか、気候変動対応特別オペの対象先に系統金融機関を追加した。共通担保オペの拡充、貸出増加支援オペの延長、気候変動対応オペの対象先拡大はいずれも全員一致で決めた。

日銀はまた、「経済・物価情勢の展望」(展望リポート)を公表し、2023年度の消費者物価指数(生鮮食品除く、コアCPI)の見通しを前年度比プラス1.6%で維持するとともに、24年度の見通しをプラス1.6%から1.8%へ引き上げた。

(和田崇彦編集:石田仁志)