[東京 23日 ロイター] – 東京電力ホールディングス(HD)は23日、子会社の東電エナジーパートナー(EP)が家庭用電気料金の値上げを申請したと発表した。燃料価格の高騰や円安が続いていることが理由で、平均29.31%の値上げを行う。また、東電HDの2023年3月期の連結業績について、燃料・卸電力市場価格の上昇などにより経常損益が5020億円と過去最大の赤字になる見通しと明らかにした。

東電EPは6月1日に規制料金を見直し、標準的な使用量の家庭の電気料金は28.6%の値上げとなる見込み。家庭用の自由料金も平均5.28%値上げする。対象となる契約数は2140万件で、うち規制料金は1550万件、自由料金は590万件。会見した秋本展秀社長によると、現行料金のままでは年平均2944億円の収入不足となるという。昨年11月に、家庭向け料金の見直しを進めると発表していた。

東電EPの2022年度の経常損益は、燃料費調整単価の上限到達などの影響で5050億円の損失を見込んでいる。収支悪化により財務基盤の立て直しが必要となり、昨年に続いて東電を引き受け先とする増資により3000億円を調達する。同社は昨年10月末にも2000億円の増資を実施している。

東電HDが同日発表した2023年3月期の連結業績では、経常損益が5020億円と過去最大の赤字になる見通しとなった。燃料・卸電力市場価格の高騰が響いた。当期損益も関係会社の株式売却益などを特別利益として計上するものの、3170億円の赤字を見込む。

売上高は燃料価格の高騰などで燃料費調整額が増加し、7兆9310億円(前期は5兆3099億円)を見込む。

これまでは、ウクライナ情勢などの影響で燃料価格や販売電力量の見通しが不透明だとして、通期の連結業績予想を未定としていた。

今期はエネルギー価格が高騰したことによる新電力からの契約の打ち切りで東電へ顧客が流れ、これに対応するためスポットでの燃料調達が急増したことが収支の悪化につながった。

東電HDの小早川智明社長は会見で「できるだけ高い買い物を抑えるということも狙う」として、スポット価格での調達を抑制するため節電や省エネを推進する方針を示した。国や自治体の補助金とは別の補助政策も内部で検討しているといい、来年は「経営を立て直していきたい」と述べた。