中国の半導体受託製造大手「中芯国際集成電路製造(SMIC)」の上海工場=2020年9月、上海(EPA時事)
中国の半導体受託製造大手「中芯国際集成電路製造(SMIC)」の上海工場=2020年9月、上海(EPA時事)

 【北京時事】中国は米国が主導する半導体の対中輸出規制強化の動きに警戒感を強めている。海外製に頼る重要装置などの調達が一段と難しくなり、習近平指導部が重視する科学技術の発展が停滞することが避けられないからだ。半導体製造装置に強みを持つ日本、オランダが米国に追随すると報じられており、中国政府は対抗措置を示唆し、包囲網形成をけん制している。

半導体、対中規制で日米歩調 企業に打撃、対象品焦点に

 「銃声のない戦争だ」「ワシントンの一部政治エリートは『打倒中国』の狂騒曲に取りつかれている」。中国共産党機関紙・人民日報系の環球時報は先月末、対中包囲網に警戒感を示す社説を掲載した。

 米中対立が激化する中、中国は巨額の資金を投じて半導体産業の育成を急いできた。政府は2015年に公表した産業戦略で、半導体の自給率を25年に70%へ引き上げる目標を設定した。だが、米メディアによると、21年の自給率は2割未満にとどまった。

 北京の業界関係者は「中国の技術力は高まっているが、最先端分野では日米欧との差が大きい」と指摘する。米国がこれまでに発動した中国企業を標的とする制裁の影響で、技術開発が伸び悩んだためとも言われている。

 中国外務省は日本などを念頭に、「関係者は慎重に行動すべきだ」(報道官)と規制強化に加わらないよう呼び掛けた。一方で、国益や中国企業の利益を「断固として守る」と強調した。対中貿易を停止した企業に対し、中国が自国市場からの締め出しなど報復措置を取るとの見方も出ている。