【ワシントン時事】米軍は4日午後(日本時間5日未明)、南部サウスカロライナ州沖合の大西洋上の領空内で戦闘機からミサイルを発射し、中国の偵察気球を撃墜した。米軍は残骸の回収作業に着手し、気球が収集していた情報などの分析を行う。米兵や市民、民間航空機などへの被害はなかったという。
バイデン米大統領は記者団に対し、「撃ち落とすことに成功した。われわれのパイロットたちをたたえたい」と語った。一方、中国政府は気球撃墜に強く反発し、対話局面を迎えていた米中関係は一転、緊張が再燃する恐れもある。
米国防総省高官の説明によると、バイデン氏は1日に気球の撃墜を承認。市民への被害を防ぐため、軍は気球が大西洋沖合に移動した後に撃ち落とす作戦を立案した。4日午後2時39分(日本時間5日午前4時39分)、ステルス戦闘機F22が空対空ミサイルを発射し、気球を撃墜した。
米本土上空を飛行していた気球を巡っては、中国政府が「気象研究用」と主張する一方、米側は「偵察用」だと断定。ブリンケン国務長官は「無責任な行動だ」と批判し、5日から予定していた訪中を延期した。
気球は高度1万8000~2万メートルの上空を飛行しており、F22は高度約1万7600メートルからミサイルを発射した。落下した残骸は水深約14メートルの位置に沈み、米海軍がサルベージ船に連邦捜査局(FBI)職員を乗せ、回収を進めている。具体的な日数は不明だが、作業は短期間で済むという。
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