[東京 24日 ロイター] – 日銀副総裁候補の氷見野良三前金融庁長官は24日、衆院議院運営委員会で、金融システムについて現時点で懸念がある状況ではないが「不均衡や脆弱性が潜んでいないか注意深くモニタリングしていく必要がある」と述べた。一方、海外経済の不確定性は非常に大きいとし、金融緩和を続けていくことが適切だと語った。
日銀のETF買い入れについて「株式市場の在り方に大きな影響があるのは事実」と認めた。そのうえで「緩和に必要ならば続けるが、副作用を小さくする実施の在り方が必要」と指摘した。
氷見野氏は「経済・物価の状況に加え金融仲介機能や緩和の副作用についても、注意深く見ていく必要がある」と話した。
2020年の新型コロナ感染拡大後、金融市場でのシステミックリスクの可能性を「FRB(米連邦準備理事会)などが力づくで抑え込んだものの、(米投資会社)アルケゴス破綻など潜んでいた脆弱性が表面化した」と指摘。「金融システムの脆弱性は注意深くモニターすることが必要」と強調した。
金融機関経営については、長期的には賃金上昇を伴う物価目標の持続的・安定的達成が一番重要になると述べた。
地域金融機関の再編は、経営力強化の「有力なオプションのひとつだが、ほかにも選択肢があり、当局側が用意する必要がある」とも述べた。
政府・日銀の共同声明については「直ちに変えていかなければならない印象を受けた箇所はない」とした。
日本経済の現状について「企業・家計がともに貯蓄主体になっている」と表現し、「企業が投資主体となり、金利が跳ねたりせずに徐々に財政(支出)を引いていく(縮小する)ことは可能」との展望を示した。
自身が副総裁候補に選ばれた理由について「たまたま組み合わせにうまくはまったため」と指摘した。
副総裁就任後の抱負を求められると「(自身が)公務員になって以来下がり続けてきた日本の相対的な地位が5年後には反転しているように全力を尽くしたい」と述べた。
(和田崇彦、竹本能文)