ウクライナ国防省情報総局の幹部は26日のドイツ紙「WAZ」などとのインタビューで、ウクライナ軍が春の着手を計画するロシア軍への大規模な反転攻勢に関し、ロシアが2014年に一方的に併合した南部クリミアと露本土との分断を狙うと述べた。ウクライナに接する露西部ベルゴロド州などの露軍施設も攻撃対象になる可能性を指摘した。ウクライナ側が露領内への攻撃に言及するのは異例だ。

 この幹部は、反転攻勢で「南部の露軍占領地域にくさびを打ち込みたい」と語り、南部ザポリージャ州の奪還を優先する考えを示した。着手時期は、米欧からの戦車など軍事支援の到着時期に左右されると述べた。

 ベルゴロド州などロシアの国境地帯は越境攻撃を既に受けてきたがウクライナ軍は攻撃の事実を公式には認めていない。この幹部は「ウクライナに対する攻撃の起点になっている」との認識を示した。反攻の最終目的はクリミアの奪還だと強調した。

 ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は26日のビデオ演説で「クリミアの解放により、人々の生活を破滅させるロシアのあらゆる試みに歴史的な終止符を打つ」と述べた。クリミアの軍事的な奪還は困難との見方が出る中、原則的な立場を示したものとみられる。

 ゼレンスキー氏は26日の大統領令で、露軍が全域制圧を目指して攻勢を拡大している東部ドンバス地方(ドネツク、ルハンスク両州)のウクライナ軍を指揮する司令官を解任した。理由は明らかにしていない。

 ウクライナ軍参謀本部などによると、露軍は26日夜から27日にかけて自爆型無人機少なくとも14機を首都キーウなどに飛ばし、ウクライナ軍が11機を撃墜した。原子力発電所が立地する西部フメリニツキー州では民間施設に着弾し、救助隊員2人が死亡した。